1244.学習篇:難しいところは後まわしに

 今回は「つっかえるくらいなら後まわしにしよう」についてです。

 小説を書いていると、すらすら書ける部分とつっかえつっかえでなかなか書き進めない部分が出てきます。ムラが出来てしまうのです。

 そんなときは書けない部分を飛ばして後まわしにしましょう。





難しいところは後まわしに


 小説を書いていると、どうしても書くのに難儀する箇所が出てきます。

 たいていは知識不足が原因です。

 それでも「小説賞・新人賞」の締切に間に合わせたくて、頭を唸らせて苦労します。

 その苦労、本当に報われるのでしょうか。




難儀するなら飛ばしてしまう

 知識不足で書くのに難儀していて、そこで筆が止まってしまえば全体のスケジュールを貫徹できません。

 悩むだけ時間のムダです。

 ここはひとつ、書くのが難しいところを飛ばして後まわしにしてください。

 すらすら書けるところだけ先に埋めてしまうのです。

 試験だって、わかる問題から順に解いていきますよね。わからない問題や自信のない問題はいったんスルーして、最後までたどり着いたら改めて飛ばした問題に挑めばよいのです。

 そのほうが時間を有効に利用できます。

 小説を書くのも試験と一緒です。

 すらすら書けるところを先に埋めておき、難しいところは後まわしにする。

 たったこれだけで生産性が飛躍的に高まります。

 そもそも「小説賞・新人賞」を狙いにいく作品は長編小説が多い。ほとんどの方は小説投稿サイトで連載しながら応募原稿を書きあげていくと思います。

 しかしそれだと「頭を悩ませる」箇所の質がどうしても低下しがちなのです。

 質が低くなるとわかっていてもスケジュールを優先しなければ、締切までに完結できません。

 それで肝心の「小説賞・新人賞」を獲れるものでしょうか。

 質が低いとわかっているのに「小説賞・新人賞」を獲るのはまず無理でしょう。

 書いているあなた自身がいちばんよくわかっているはずです。

「小説賞・新人賞」へ連載小説を応募しようとしている方は、一度立ち止まって考えてください。

 難儀する箇所を納得がいくまで推敲するほうがよいのか。毎日のスケジュールを優先して質を落としたほうがよいのか。

 私は前者をとりたいですね。

 だから「小説賞・新人賞」は原稿が完成し次第、順次小説投稿サイトへアップロードしてエントリーすればよい。

 そう思いませんか。




飛ばしてから再挑戦

 難儀して時間をかけるくらいなら飛ばして書きましょう。

 飛ばした部分はあとでいくらでも書き足せます。

 書くのが難しいいちばんの原因は「知識不足」です。その次が「先の展開が読めない」ところから来ています。

 小説を執筆していると「先の展開が読めなく」なる方がいらっしゃるのです。

 しかし私が提唱している「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」を経ていれば、先々の展開はすでに定まっています。これで「先の展開が読めない」から書けない、また書くのが難しいという事態を避けられるのです。

「小説賞・新人賞」の中には、小説投稿サイトで連載中の作品を応募してよいものがいくつもあります。

 だから風の吹くまま気の向くままに書いている連載小説を、安易に応募して玉砕する書き手が増えるのです。

 その連載小説は「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」を経ていますか。

 人気のあるテンプレートの物語を、自分の書きやすいように書いているだけではありませんか。

 それで完結まで書けるほどの文才を持つ人はひじょうに限られています。

 だから私のような凡人は「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」をしっかりと設定するのです。

 それでもなお執筆に難儀する部分は出てきます。

 それならいっそ飛ばしてしまえばよいのです。

 いったん難儀する部分を飛ばして続きを書けば、書けなかった理由が明確になります。

 先々の展開が設定されていなかったと気づくのです。

 書きづらい場面は素直に飛ばして、書けるところから書いていきましょう。




連載は原稿が出来てから

 連載を始めるのは、原稿がすべて出来てからでも遅くはありません。

 先に結末までしっかりと書き出していれば、あとからいくらでも手を入れられます。

 結末は決まっているので、そこに向かう過程が一部変更されるだけですからね。

 もし原稿の完成を待たずに連載を始めてしまったら。

 毎回思いつきで書くしかなくなり、結果としてどちらへ進んでいくのかわからない展開になってしまいます。

 ある意味ジェットコースターのようなものです。

 先がわからないから、読み手だけでなく書き手もドキドキしながら展開を決めつつ書くしかない。この先どう動くのか、誰にもわからなくなります。

 ですがこの「誰にもわからない」状態のほうが読み手には魅力的に映るときがあるのです。だからそういった「いきあたりばったり」な作品がランキングの上位を占めます。

「先が読めない」という「スリル」を読み手と書き手が共有しているので、なんだか「名作」に見えてしまうのです。

 しかし「プロ」を目指す書き手なら結末までしっかり決めたうえで、読み手に「スリル」を味わってもらいましょう。書き手まで「スリル」を味わってしまうと、一話書きあげるだけでハイな気分になってしまうのです。快感になります。

 一度「スリル」から解放される快感を覚えると、綱渡りな執筆が長引きます。

 結果として投稿できない日が一日出てしまうのです。一日連載が途切れただけで、書き手が味わっていた「スリル」が消え去ってしまい、そのまま作品が終了せずに放置される結果を招きます。つまり「エタる(エターナル:永遠に終わらない)」わけです。

「エタる」作品が出ると、読み手が潮を引くように去っていきます。

 これまでどんなに「スリル」のある作品を書いていたとしても、見向きもされなくなるのです。

 だから絶対「エタら」ないよう、先に結末までしっかりと書き出しておきましょう。

 落としどころがわかっているから、寄り道もできるのです。

 少なくとも物語の結末をしっかり決めて、書きづらい場面も概要を確定させておけば、連載が途切れる心配はいくらでも減らせます。

 連載を始めたいなら、まずは仮でよいので結末まで書き出しておきましょう。





最後に

 今回は「難しいところは後まわしに」について述べました。

 どんなに難儀な場面を書かなければならなくても、連載は途切れさせられません。途切れたらそこで読み手が離れてしまうからです。

「小説賞・新人賞」へ応募する原稿なら、結末までしっかり書きましょう。途中で「ここは書きづらいなぁ」と感じたら、飛ばしてもかまいません。というよりむしろ飛ばしてください。書けない理由は先々の展開が読みづらいから、が最も多いのです。

 この理由なら、先の展開を書いてから戻ってきたほうがすんなり書けて効率がよい。

 とにかく書けそうなところを順に埋めていき、書けなかったところをひとつずつ埋めていきましょう。

 連載小説の場合は、仮でよいので結末まで書き出してください。

 結末を目標とすれば、日々の執筆で迷いがなくなります。



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