1243.学習篇:小説賞・新人賞のスケジュールを押さえておく

 今回は「定例の小説賞・新人賞」と「単発の小説賞・新人賞」についてです。

「定例の小説賞・新人賞」にこだわりの一作を手を替え品を替え応募していませんか。それではいつまで経っても賞は獲れませんよ。





小説賞・新人賞のスケジュールを押さえておく


 皆様がたどり着くべきゴールであり、作家人生のスタートともなる「小説賞・新人賞」。

 ですが無計画に「小説賞・新人賞」を狙っていませんか。

 きちんとした計画から、あなたの実力を存分に発揮した作品が書けるようになります。




毎年開催されている「小説賞・新人賞」なら

 多くの小説投稿サイトで「小説賞・新人賞」は毎年同じものが開催されているはずです。

 ということは「そろそろあの賞の時期が来たか」と待ち構えていらっしゃいますよね。

 えっ、待ち構えていない?

 あなたはその「小説賞・新人賞」を獲りたいのではありませんか。

 だったら開催スケジュールを熟知していなければ意味がないのです。

 開催のアナウンスがあってから構想を練り始め、執筆するのでは遅すぎます。

 毎年同じ時期に開催されるのなら、それに合わせて何本もの構想を用意しておくのが鉄則です。「今回はどれで勝負しようか」を決めるくらいでなければなりません。

 開催が発表されてから構想を練るのでは、賞の獲れる作品は書けないでしょう。

「小説賞・新人賞」のレギュレーションはたいてい毎回同じです。レギュレーションが変更されたら賞の名称が変わります。

 構想数日と構想一年。どちらがより深みを出せるでしょうか。


 たとえば「電撃大賞」「ファンタジア大賞」「スニーカー大賞」「MF文庫Jライトノベル新人賞」はいずれもKADOKAWAのライトノベルレーベルで、それぞれ開催されています。

 しかしウケる作品は各賞で微妙に異なるのです。

 レーベルのカラーに合った作品でなければ、正当な評価は期待できません。

 あなたがどのレーベルから「プロ」デビューしたいかで、どんな作品を応募すればよいのか変わってくるわけです。

 その「傾向と対策」をせずに受賞できるほど、賞レースはたやすいものではないと思いませんか。

 応募したい、つまり受賞してデビューしたい「小説賞・新人賞」があれば、過去の受賞作の「傾向と対策」は必ずしておくべきです。

「傾向と対策」をした結果、あなたの書きたい作品が求められていないと判明したら、潔く別の、求められている「小説賞・新人賞」へ狙いを変えてください。

 前述した四つの「小説賞・新人賞」はすべて同じ出版社の開催ですが、それぞれ求められている作品が異なります。

 あなたが書きたい作品にピタリとハマる「小説賞・新人賞」はひとつしかありません。

 それを見据えたうえで応募しなければ、よくて佳作止まり。大賞は必ず逃します。

 だから「小説賞・新人賞」は手当たり次第に応募するのではなく、あなたが書きたい作品が求められているものだけに絞るべきなのです。

 ひとつの「小説賞・新人賞」しか残らなければ、毎年必ず応募するくらい精魂込めてください。

 とはいえ、ひとつの物語にあれこれ手を入れて毎年応募してもムダです。

 魅力的な物語であれば、どんなに拙い文章でも少なくとも佳作、開催年によっては大賞が獲れます。

 つまり一度落ちた作品をいくら使いまわしても、絶対に大賞は獲れないのです。

「小説賞・新人賞」を獲りたければ、毎年まったく異なる物語で挑まなければなりません。

 それでいてその「小説賞・新人賞」で需要のある物語である必要もあります。

 これだけの物語を、開催がアナウンスされてから考え始めるのがいかに遅すぎるか、おわかりいただけたでしょうか。




単発の「小説賞・新人賞」なら

 小説投稿サイトでは時に今までの流れとはまったく異なる「小説賞・新人賞」が開催されます。単発の「小説賞・新人賞」ですね。

 単発の「小説賞・新人賞」なら、過去他の「小説賞・新人賞」に応募した作品を手直しして応募してもかまいません。開催したレーベルごとの判断基準が異なるからです。

 募集要項をよく読んで、使いまわせそうなら使いまわしましょう。

 単発の「小説賞・新人賞」は事前に物語を仕込めません。「傾向と対策」も立てられません。となれば執筆に時間を書けるわけにはいかないのです。

 皆様のお考えは逆ではないでしょうか。

 定例の「小説賞・新人賞」へは「これでプロデビューしたい」と思い入れのある作品にあれこれ手を入れて応募し続け、単発の「小説賞・新人賞」へはその場で思いついた作品を応募するのです。

 これで受賞できればよいのですが、ほとんどの方は逃します。

 戦略を取り違えているからです。

 毎年開催されている定例の「小説賞・新人賞」に同じ物語を応募し続けても、賞にはかすりもしないでしょう。毎年異なる物語で挑戦するから、受賞する確率を高められます。

 単発の「小説賞・新人賞」には他の「小説賞・新人賞」で落選した作品を仕立て直して応募するのです。構想はじゅうぶんに練られていますし、執筆もあらかた終わっています。文章表現や読ませ方を工夫するだけで済むので、いくらでも物語をブラッシュアップできるのです。

 この戦略でいけば、いつか必ず賞が獲れます。

「思い入れ」も結構ですが、「小説賞・新人賞」は基本的にあなたの文章力よりもストーリーテリングが審査されています。どのような物語を思いつけたのか。その幅の広さを見せつけるのです。

 今さら「異世界転生ファンタジー」一本で「小説賞・新人賞」を獲るのは不可能に近いでしょう。

 小説投稿サイトの「異世界ファンタジー」ジャンルでは「主人公最強」「俺TUEEE」「チート」「無双」などの作品がランキングを賑わせています。

 そうなると「小説賞・新人賞」も「主人公最強」系の物語で埋め尽くされてしまうのです。

 それでは差別化できませんよね。あなたのストーリーテリングも選考さんに見せつけられません。

 凡百の作品とは異なる、あなただから書けた物語。

 それが「小説賞・新人賞」を獲る作品なのです。

 単発の「小説賞・新人賞」で「主人公最強」系物語のウケがよいのは、期間が限られているから。賞の募集要項が掲載されたときから、締切までの期間が短いのです。だから誰もが思いつく「主人公最強」系の作品が山のように寄せられます。選んでいるほうも、応募された作品の中から大賞を見つけ出さなければならないので、結果的に小説投稿サイトでウケている物語が受賞しやすくなるのです。





最後に

 今回は「小説賞・新人賞のスケジュールを押さえておく」について述べました。

 事前に「傾向と対策」を練られる定例の「小説賞・新人賞」へは、他にないあなたらしさのある物語で挑んでください。

「傾向と対策」が練られない単発の「小説賞・新人賞」へは、他の「小説賞・新人賞」で落ちた作品を手直しして応募しましょう。

 これが賞を獲得しやすい「戦略」です。

 思い入れのある作品がもし「小説賞・新人賞」で落ちてしまったら、単発の「小説賞・新人賞」で再挑戦してみてください。



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