1184.技術篇:絶対にあきらめない
今回は「あきらめない」ことについてです。
なにごとも、あきらめたときに終わります。
あきらめないかぎり終わりは来ません。
絶対にあきらめない
何回応募しても一次選考すら通過しない。よくあることです。だからといって、それであきらめてはなりません。直すべきところがあるから一次選考を通過できなかったのです。気づいた点をひとつずつ改善していき、一次選考が通過できるレベルまで持っていきましょう。
あきらめた順に脱落していく
なにを当たり前のことを。そうお思いですね。
しかし、この「当たり前」を正しく認識している人は限られます。
小説投稿サイトで開催されている「小説賞・新人賞」へ応募してみた。でも一次選考すら通過できずに落選してしまった。
以前書きましたが、一次選考は「日本語力」をチェックします。それすら通過しないのは、日本語が正しく使えていないのです。
とくに大賞を獲ろうと意気込んでいた書き手の方が、初めて「小説賞・新人賞」へ応募して一次選考を通過できない。「大賞は獲れて当たり前」「私以外に大賞を獲れる人はいない」と思い込んでいても、一次選考を通過できないのです。
この現実をどう捉えるのか。
多くの書き手は「この小説賞は見る目がない」と憤るか「私には才能がないのかな」と落ち込むかします。
その結果次の「小説賞・新人賞」には応募しなくなるのです。それだけでなく、それ以降の「小説賞・新人賞」すべてに応募しなくなります。
つまり勝負から下りてしまうのです。
こうやって勝負から下りていった順に、賞レースから脱落していきます。
賞レースを勝ち抜けるかどうかは、正直「運」の要素もあるのです。
同じ賞に、近年稀に見る「名作」が応募されていないともかぎりません。
また完成度の高い作品が粒ぞろいだったのかもしれません。
小説賞にはカットラインがあります。
一段の選考で強制的に十分の一に絞り込まれるのです。あなたが含まれている十作の中から一本だけが通過します。あなたの日本語力が高くても、他の九作のうち一本がそれよりも高い日本語力で書かれていたら、あなたは一次選考を通過できないのです。
日本語力は「絶対的に高い」ほうがよいのですが、「相対的にも高く」なければ正当に評価されません。
ただし努力の方向性を考えるうえでは、日本語力はどんなに高くてもよいのです。
あなたが仮に九〇パーセント日本語を使いこなせていたとしても、九五パーセントの作品には敵いません。
反対に回りが八〇パーセントの作品しかなかったら、あなたが一次選考を通過します。
これをただ「運」と呼んでよいのでしょうか。
もしあなたが日本語力一〇〇パーセントであれば、誰が相手でも負けるはずがありません。「運」など入り込む余地がないのです。
一次選考を通過できないのであれば、日本語力をできるかぎり一〇〇パーセントまで引き上げましょう。日本語について学んでいるのに一次選考を通過できないのは、まだ一〇〇パーセントに届いていないからです。
だから確実に一次選考を通過するため、日本語力一〇〇パーセントの文章となるよう日々努力してください。
あきらめた順に「小説賞・新人賞」から脱落していくのです。
地道に努力を重ねれば、いつか一次選考を通過できるようになります。そうしたら毎回通過できるよう、さらに日本語力を高めていってください。
面白さは鉄板からズラシ
一回で一次選考を通過できても二次選考で落とされてしまった。
よくある話です。でもあきらめないでください。
二次選考で見られるのは「物語の展開」です。
多くの方は「二次選考を通過するには奇抜な展開でないと」と思い込んでいます。
実際には「鉄板の展開」のほうが面白い作品になるのです。
「鉄板の展開」を知りたければ、「小説賞・新人賞」が開催されている小説投稿サイトで人気上位の作品に目を通しましょう。
今ではどこでも「主人公最強」「ざまぁ」が強い。それ以外に脇役や世界観などを分析してみてください。上位ほとんどの作品がほとんど同じ設定のはずです。それが、その小説投稿サイトで今求められている「鉄板の展開」となっています。
それをすべて取り入れろというわけではありません。
それでは応募作のほとんどが同じ作品にしかならないからです。そうなると単なる比較でしか評価されなくなります。この中でどれがいちばん面白いのか。
これだと一次選考と同様「運」だのみになってしまいます。
そこで「鉄板の展開」から少しズラしたストーリーに変えてください。
「鉄板の展開」の安定感をあえて不安定にするのです。もちろんそれで確実に面白くなるとはかぎりません。あなたがきちんと物語を構築できるのであれば「鉄板の展開」よりも面白くなる可能性は高まります。
もし物語を構築する力がなければ「鉄板の展開」をズラした途端「つまらなく」なるでしょう。目立つには目立ちますが「悪目立ち」です。
いくら「小説賞・新人賞」へ応募しても二次選考を通過できない。
そこであきらめたら、その順に賞レースから脱落します。
あきらめず、たくさんの物語を書き続けていれば、そのうち物語づくりのコツがつかめてくるでしょう。
そうなる前にあきらめてしまう人が多い。だから「継続は力なり」といわれます。
あきらめるのは「無力」です。それまでどれほど頑張っていても、あきらめてしまえばすべての努力は無に帰します。
あきらめないで書き続けるから、最終的な栄冠を手に入れられるのです。
あなたはこれまでの努力をすべて無に帰しても後悔しませんか。
わずかでも後悔しそうなら、絶対にあきらめてはなりません。
つねに新しい物語を考え続けてください。
たとえばあなたに十の物語がストックしてあれば、最低でも十回は「小説賞・新人賞」へ挑戦できます。
もし十一回目の応募をするのなら、改めて十一番目の物語を考えてもよいですし、一回目の物語を今の感性で書き直してもよいでしょう。
そもそも長編小説の物語のストックを十本持っている方はほとんどいません。たいていは五本程度のはずです。片手で数えられる程度にしか、人は意識が働きません。
たとえば五本の長編小説の物語があれば、とりあえず五回は違う作品で勝負できます。そのあとは、新しい六本目の物語を時間をかけて考えるか、すでに頭に馴染んでいる一本目を、今書ける最高の形で文章に起こしてみるのです。
どちらにしても、突破口を開ける確率は似たようなもの。
少なくとも五本の失敗作からなにを学べるのか。その成果を次の物語に活かせるかどうか。それが物語の面白さを決めます。
あきらめないかぎり脱落はしません。
たとえ「プロ」になっても、あきらめないかぎり脱落しないのです。
つねに新しい物語を模索していれば、いつか道は開けます。それまで売れない小説書きでも、次が傑作なら書き手生命はつながるのです。
今まさに「小説賞・新人賞」へ応募した作品の結果を知ったばかりの方も、「プロ」としての書き手生命を懸けた作品を作らなければならなくなった方も、絶対にあきらめないでください。
「あきらめた順に脱落していく」という言葉の真理を見抜いてください。
往生際が悪くて結構。あがく姿がみっともなく見えても結構。
あきらめて敗北していく醜態をさらすよりよっぽどよいと思いませんか。
小説はいくつになっても書き続けられます。年齢制限はないのです。
未成年で「プロ」になれる方もいますし、老齢から「プロ」デビューした方もいらっしゃいます。
「もういい年齢だから」とあきらめて醜態をさらすのと、「生きているかぎり挑戦し続ける」と悪あがきを続ける姿をさらすのと。
あなたにとってどちらがましですか。
私は悪あがきを続けるほうがましだと考えています。
あきらめるなんてぶざまなだけ。それまでの努力やかけた時間をすべてムダにしてしまうのですから。
一度身につけた「小説を書く」というスキルを、そう簡単に手放してよいのでしょうか。あなただからこそ書ける作品があるのではないでしょうか。
主人公や登場人物たちは、あなたが形にしてくれるのを待ってくれているはずです。
あなたが書かなくて、誰が彼ら彼女らに命を吹き込めるのでしょうか。
本当にあきらめてよいのですか?
最後に
今回は「絶対にあきらめない」について述べました。
「あきらめた順に脱落していく」
この言葉には真理があります。
そして裏に「あきらめなければ道は続いている」という真理も含まれているのです。
この世の中は、あきらめの悪い人が成功を収めるように出来ています。
実力を安易に見切ってはなりません。
往生際の悪い主人公は、つねにラスボスの意表を突く一撃が放てるものです。
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