1022.面白篇:認められなければ意味がないのか
今回は「認められたいから書きたいのか」についてです。
多くの方は「自分の才能を認めてもらいたい」と思っています。
その気持ちが透けて見える書き手の作品は面白いのでしょうか。
認められなければ意味がないのか
小説は誰にでも書けます。しかし評価されるかどうかは別の話です。
人は自分が作ったものに自信を持っていますが、不安も抱いています。
渾身の力作を小説投稿サイトに掲載したのだが、いっこうに閲覧数もブックマークも増えない。この状態を「ま、そんなもんでしょ」で乗り切れる方はさほどいません。
自分の才能を認めてもらいたい
どんな人であろうと、集団に生きる人間であれば「自分の才能を認めてもらいたい」と思います。これは「承認欲求」によるものです。
力作なのに誰からも評価されなかったら、どんな方だってへこみます。私もこのところ書けていませんが、小説を執筆して小説投稿サイトへ掲載して閲覧数もブックマークも増えずに埋もれていく作品ばかりを書いていました。
今考えれば悪いことばかりしていたとわかりますが、掲載当時はほとばしる感情に突き動かされるがごとく、読み手無視で独りよがりの文章を書いていたのです。
皆様もせっかくの力作が閲覧数ゼロ、ブックマークゼロ、評価ゼロのトリプルゼロを経験しませんでしたか。だから本コラムをお読みなのかもしれないですね。
小説投稿サイトで自分の才能を認めてもらいたいのなら、人の書かない作品で勝負するか、テンプレートで潜在的な読み手のパイを広げるか。この二者択一になるでしょう。
人の書かない作品で勝負する
もちろん「人の書かない作品」で勝負したほうが、評価は高まります。ですが、すでに億単位はあるであろう既存の小説でまったく書かれていない物語は、早々には生み出せません。
時代の最先端技術を積極的に取り入れてトリックに利用する推理小説なら、おそらく誰ともかぶらないと思います。推理小説が書けるのでしたら、ぜひ挑戦してみてください。
小説投稿サイトで一番人気の「異世界ファンタジー」では、既存の作品とかぶらないほうが珍しい。
たとえば「主人公は勇者」「対になる存在はドラゴン」「ラスボスは魔王」といったありきたりな設定だと、必ずと言ってよいほど類似する作品があります。
世界観を特殊にするか、主人公を特殊にするか。ラスボスを特殊にするか。
とにかく一般的な「異世界ファンタジー」とは根本的に異なる作品を書かなければなりません。それが「VRMMO」「異世界転生」ものを生み出したのです。
近年の「追放」「ざまぁ」ものも、主人公の特殊性に負うところが大きい。また「スローライフ」もののように、異世界を舞台にしながらも「戦わない」時間が長かったり「いっさい戦わなか」ったりする作品も生まれました。
誰もが書きやすいと思っている「異世界を舞台にしたファンタジー小説」は、考えているよりも難しい。
あなたが「こんな異世界を舞台にしたファンタジーが書きたい」と思っているものは、たいてい「すでに存在」しています。同じような思いを持つ書き手たちによって「テンプレート」化されているものが多いからです。
であれば、いっそ「テンプレート」に従ってみるのも「あり」かもしれません。
「人の書かない作品」は、テンプレート作品よりも初動が悪く、小説投稿サイトではなかなか注目されません。それこそ閲覧数ゼロ、ブックマークゼロ、評価ゼロのトリプルゼロが当たり前です。
ではなぜ「人の書かない作品」をオススメしているのか。
「小説賞・新人賞」へ応募する前提です。開催されている「新人賞・新人賞」では、テンプレート作品よりも「人の書かない作品」のほうが高い評価を得ます。つまり同じ筆力なら「人の書かない作品」のほうが、より高い順位を獲りやすいのです。とくに最優秀賞や金賞などトップの順位はテンプレート作品では獲りづらいとされています。「人の書かない作品」こそ最優秀賞や金賞として「紙の書籍」化したいと主催・共催している出版社は考えているのです。それでもテンプレート作品は収益の安定を狙って確保しておきたいので、それらは佳作に入れられます。
「人の書かない作品」は、うまく書ければ「プロの書き手」に最も近づけるのです。
将来「プロの書き手」を目指しているのなら、小説投稿サイトで漫然と連載している暇はありません。毎月のようにどこかの小説投稿サイトで開催される「小説賞・新人賞」へ狙いを定めてください。そして「人の書かない作品」を応募し続けましょう。
テンプレートでランキングを狙う
「人の書かない作品」はなかなか思いつけるものではありません。
であれば、最初からテンプレートを用いたほうがいっそ潔い。
テンプレートには「固有のファン」が存在します。だから安定した閲覧数(PV)とブックマークが確保できるのです。
『小説家になろう』の総合評価ポイントはブックマーク数と文章評価・ストーリー評価の合算で決まります。つまりブックマークが安定して稼げるテンプレート作品は、ランキングに載りやすいのです。だからこそモチベーションが高まります。
ランキングに載れれば、続きを書くのが楽しみでしょうがないのです。そして次話が好評で順位がひとつでも上がれば、さらに筆が止まらなくなります。
しかしそんな利点のあるテンプレート作品にも弱点はあるのです。
テンプレートは「誰もが知っている」型ですから、導入部分が疎かな作品が多い。導入部分でいかに読み手を惹きつけられるか。つまり「第一話勝負」になるのです。
「テンプレート作品」は「第一話」で読み手を惹き込めないと、第二話以降へ読み手を誘えません。
運よく「第一話」がうまく書けても、「第二話」が駄目なら台無しです。「第二話」もよくても「第三話」が駄目ならそれまで。
同じテンプレートを用いた「テンプレート作品」も多数投稿されています。
このように「テンプレート作品」は毎回読み手を惹きつけられなければ、すぐにランク外へ押し出されてしまう諸刃の剣なのです。
同じテンプレートで切磋琢磨すれば筆力もじょじょに高まります。
これまでほとんど小説を書いてこなかった方は、まず「テンプレート作品」で腕を磨くべきです。挫折と成功の体験がなによりも成長を後押しします。
最後に
今回は「認められなければ意味がないのか」について述べました。
小説を書いて他人から認められたい。
承認欲求としてごく当たり前の意識です。
しかし「認められないから駄目」とは誰も言いません。
もちろん認められたほうが書き手のモチベーションは高まります。
だから初心者のうちはテンプレート作品を書きましょう。型どおりに展開できれば筆力がついてランキングへも載れるでしょう。
筆力がじゅうぶん高まったら、いつまでもテンプレート作品を書かないようにするべきです。すぐにでもオリジナル作品を「小説賞・新人賞」へ応募しましょう。
テンプレート作品とは違った作品でなければ大賞は射止められませんよ。
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