1002.筆洗篇:小説を書くのに知っておくべきこと

 今回は「小説を書く」ときの心構えについてです。

 筆洗篇は次回で終え、次々回から新たな篇を始める予定です。

 ストックが切れている状態なので、どんな篇にするのかは寝るまでに考えたいと思います。

 篇名でコラムの方向性が決まるので、ある程度固めないといけませんね。

 その前に明日の投稿ぶんを明日中に書かなければなりませんが。

 本コラムでいちばん忙しいかな。しかし明後日は受診の日なので、明日中に二本コラムを書かなければなりません。





小説を書くのに知っておくべきこと


 小説を書くとき、三つのことを念頭に置いてください。



目的を明確にする

 小説には明確な目的が必要です。

「読み手になにを伝えたいのか」つまり「伝えたいことメッセージ」を掲げます。

 それが目的です。

「サスペンス小説」を書くなら「読み手にハラハラしてもらいたい」と思いますよね。

「推理小説」を書くなら「読み手にこの謎が解けるかな」と挑戦状を叩きつけることでしょう。

「冒険小説」を書くなら「読み手にワクワクしてもらいたい」と想定するはず。

「ファンタジー小説」を書くなら「こんな世界でこんなことが起こりました」と報告するような内容にします。

「ファンタジー小説」は幅が広いため、このような書き方をしました。

 あなたが書こうとしている「ファンタジー小説」において「こんな世界で」をきちんと説明しているでしょうか。「こんなことが起こりました」はどんな小説でも必ず満たしています。

「出来事が起こる」から書くことがあるのです。風景描写だけをして終わるものは「小説」とは呼びません。ただの「散文」であり「詩」に類します。

 だからまず「読み手になにを伝えたいのか」を明確にしておく必要があるのです。

伝えたいことメッセージ」がないのに小説を書いても、「物語の核」がありませんから読み手はなんの感慨も覚えません。

 小説は「伝えたいことメッセージ」があるから魅力的なのです。読み手があなたの小説をブックマークしたり評価したり感想を送ってくれたりするのも、「伝えたいことメッセージ」があったればこそ。けっして「伝えたいことメッセージ」を設定しないで小説を書かないでください。




構成を決めておく

 短編小説やショートショートでは「構成」をきちんと決めておかないと、まったくの「オチなし小説」が出来あがります。中編小説・長編小説でも「構成」が定まっていないと、あっちへフラフラこっちへフラフラと話が散漫になりやすいのです。

 そして連載小説を書くときは「構成」が不可欠です。

 連載小説の書き手はよく「当初の設定だけを決めて、あとは流れと人気に任せて書いていけばいいや」という姿勢で連載を始めます。

 連載を始めたばかりの頃は、きちんと「構成」してあるので、多くは「面白い」内容です。しかし「構成」を使いきると途端に物語が不安定になります。そこまでに登場人物の中で誰が最もウケがよかったのか。どんな展開の閲覧数(PV)が高かったのか。そういう視点から気の向くままに連載を続けようとするのです。

 でもそれだけでは、いつ物語の本質が動くのかわかりませんよね。

 読み手がわからないのはまだよいほうです。多くは書き手本人がわからなくなります。

 結果として「どのような展開にすればよいのか」がわからなくなって、更新が滞った挙句「エタる(エターナル:永遠に終わらない)」のです。

 一度でも「エタる」と読み手があなたから離れていきます。たとえ次の連載小説が面白くても、「またエタるのではないか」と懐疑的になって読んでくれなくなるのです。「エタる」作品が多くなるにつれて不信感は根深くなります。

 だからこそ、連載小説も含めて「あらかじめ構成を固めておく」ことがたいせつなのです。書き手にとっても「今書いているのは物語の何割目か」を把握できるので、たとえ寄り道をしてもすぐに本筋に戻れます。

 小説投稿サイトには「構成」を軽んじる風潮があるのは否定できません。そうした作品の人気が高いこともしばしばです。

 ですが小説は「書き終えてナンボ」であり、途中で連載が切れては「未完成品を読まされて時間を浪費させられた」と読み手が憤ってしまいます。

 小説を必ず完結させるためには、「構成」を疎かにしてはなりません。




締め切りを短く設定する

 物語が「エタらない」ために、締め切りを短く設定しましょう。

 たとえば「次話は三日後でいいな」と設定すると、その三日後までに原稿を書き終えればいいやとなります。それでは連載が途切れがちになるのです。

 一度でも連載が途切れると「まぁ今日くらいはいいか」となり、「今週くらいはいいよね」「今月は忙しかったからなぁ」を経て「エタり」ます。

 小説投稿サイトで連載を開始する際は、必ずストックを用意してください。とりあえず一週間ぶんストックがあれば、一日二日執筆できない日があっても毎日連載は続けられます。ストックが減ったらまた書き溜めて一週間ぶんのストックに戻せばよいのです。

 ストックを溜めるためにも、締め切りは短く設定しましょう。

 作品が人気を集めるためにも、毎日連載を途切れさせないよう気を配ってください。

 それができれば「エタる」心配はかなり薄らぎます。

 小説投稿サイトでは、当初の「構成」から外れて人気の出そうなエピソードを挟み、寄り道する書き手が多い。

 だから「ストックなんて作ってもどうせ使えなくなるから」と思っているのです。

 しかしストックがなければ、毎日連載をするたびに頭をひねりまくって、なんとか連載を続けなければと焦ってしまいます。


 さらに推敲の時間をとるため、締切をさらに短く設定しなければなりません。どうしたって書ける時間は限られてしまうのです。

 もし推敲もせずに毎日執筆してそのまま投稿していると、「構成」はまったくわからなくなりますし、誤字脱字が山のように出てきます。

 そんな作品の人気が出るものでしょうか。

 あなたは「構成」がめちゃくちゃで、誤字脱字の多い作品を読んでどう感じますか。

 私は「この程度の作品じゃなぁ」と思って以後読まなくなり、不要となったブックマークも外すでしょう。

 連載しているのに、閲覧数(PV)がどんどん減っている。当初たくさんあったブックマークがどんどん外れていく。そういう状態になっても「この程度の作品」である自覚を持たない書き手がかなりいます。

 だから毎日ギリギリで執筆するよりも、締切を早めて推敲に時間をかけるべきなのです。

 心に余裕も持てますので、「構成」どおりに先々の展開を書けます。また「構成」から外れた展開をしても、すぐに元の展開に戻せるのです。


「構成」はたこの糸のようなもので、どんな展開になったとしても糸さえつながっていれば、いつでも元の位置まで手繰り寄せられます。しかし「構成」から大きく外れて展開すると、凧の糸が切れてしまうのです。そうなれば、もう「構成」という凧が回収不能になります。

 制御できなくなった「構成」という凧をどうもできず、そのまま「エタる」のです。

 連載を完全に制御下へ置きましょう。そのためにも、締め切りは短く設定して推敲の時間確保とストックを溜めるようにしてください。





最後に

 今回は「小説を書くのに知っておくべきこと」について述べました。

「目的を明確にすること」「構成をきちんとすること」「締切を短く設定すること」です。

 たったこれだけのことが、普通の方にはなかなかできません。

 しかし「小説賞・新人賞」を獲得した書き手はクリアできている方が多いのです。

「小手先のこと」とバカにせず、こういった細かいことから改善していく努力を惜しまないでください。

 努力を続けていれば、必ずあなたの筆力は向上します。



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