873.創作篇:もう駄目だと感じたら

 今回は「もう駄目だと感じたら」どうするべきかを見ていきます。

 長編小説と連載小説でとれる対応が異なりますので、一緒に見ていきましょう。





もう駄目だと感じたら


 長編小説を執筆していて、途中から「もう駄目なんじゃないかな」と思うこともあるでしょう。

 そこで執筆をあきらめるべきか否か。

「駄目」だと思ったとき、なにが「駄目」だと判断したのか。それがわからないと対処法が決められません。




ストーリーが駄目だと判断したら

 ストーリーが「駄目」だと感じたのなら、とりあえず「大丈夫」だったところまで戻ってストーリーを書き直しましょう。

 どの「エピソード」がストーリーを壊したのか。それがわかれば「エピソード」で起こる「出来事イベント」が見えてきます。

 その「出来事イベント」は外せない。でもストーリーを壊しているのは明らかにその「出来事イベント」だ。

 そうであれば「出来事イベント」に対する主人公や周りの人たちへの影響が、正しくなかったということです。

 それなら影響を受けての「正しい変化」をとらせればよい。

 もし「出来事イベント」が適切でないと思ったら、その「エピソード」を丸々省いてください。適切な「出来事イベント」を発生させれば、軌道修正は容易にできます。これも「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」を経ていれば、本来発生しないのです。

 それでも執筆段階まで見落としていたのなら、「過ちを改めざる、これを過ちという」の言葉どおり、気づいた瞬間直ちに「過ち」を犯した箇所を特定し、そこまで戻って改めて執筆し直しましょう。

 これでストーリーが「駄目」だったのなら原因を修正できます。


 もし連載小説で「ストーリーが駄目だ」と感じたら、遡って修正できませんよね。

 ではどうするのか。

 これから書く「エピソード」で軌道修正を図ってください。

「ラブコメ」のつもりで書いていたのに、シリアスな「エピソード」ばかりが続いてしまったのでは、読み手が離れていきますよね。

 それならこれから書く「エピソード」ではドタバタコメディーな「出来事イベント」を起こして、正しく「ラブコメ」に戻れるように計らうのです。

 おそらくひとつの「エピソード」だけで完全に軌道修正することはできないでしょう。

 であれば、ドタバタコメディーな「エピソード」を次々と叩き込むのです。

 それでようやく「ラブコメ」として「大丈夫」な状態に戻れればそれでよし。

 もし戻れなかったら、明らかに「駄作」決定なので、潔く連載を畳んでください。

 失敗作を連載し続けるのは、はっきり言って時間のムダです。

 小説投稿サイトで将来的にランク入りできない作品を延々と書いていてもなんの得にもなりません。

「反響が薄く」て連載しているのがツラいときもあるでしょう。そんなときも連載を畳むべきです。

 三百枚・十万字の長編小説を分割して投稿している場合は直しようがないので、恥を承知でストックをすべて投稿してください。

 そうしてから今回の失敗の原因を精査して反省し次回に活かすのです。


 連載は長編を書けるようになってから、長編は短編を書けるようになってから挑戦してください。

 小説投稿サイトで初めて投稿するのが「連載小説」というのは、かなりの無理筋です。

 読み手がついてこられるはずがありません。

 まずは短編小説を書いて「知名度ネームバリュー」を高めるのです。

 ある程度高まったら長編小説を分割投稿し、さらに「知名度ネームバリュー」を高めます。

 その後に「連載小説」に挑戦すれば、多くの読み手がついてランキング上位になることも夢ではなくなります。

 ランキング上位にいられる実力があれば、小説投稿サイトで開催されている「小説賞・新人賞」に応募して、さらに読み手を増やしましょう。




登場人物が駄目だと判断したら

 ストーリーは申し分ないとは思うけどどうも平凡にすぎる。

 それは登場人物に魅力がないからかもしれません。

 長編小説で問題のある登場人物が脇役なら、その人物が登場するまで遡って破棄し、改めて作品が面白くなる人物に設定し直しましょう。

 もし主人公にまったく魅力がないと気づいてしまったら。

 これが最も怖いことなのです。しかし実際に発生することもあります。

 読み手の共感も憧れも得られない主人公であることに気づいたら、潔くその小説全文を破棄してください。

 そもそも「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」を経ているなら、主人公に魅力があるのかどうかは、執筆する前にわかっているはずなのです。わかっていながら執筆したのであれば、誰を責めるでもなく書いたあなたが悪い。


 もし連載している小説で登場人物が駄目だと判断したら、登場人物の「成長」を促しましょう。

 そのためにはその登場人物が心から変わるような「出来事イベント」を用意する必要があります。しかもたいていは「出来事イベント」に失敗して痛い目に遭うのです。

 なぜ失敗しなければならないのか。

 人間は成功しているときは現状の変更など頭にないのですが、失敗すると「もう二度と失敗するものか」と奮起する契機になるからです。

 アニメの富野由悠季氏『機動戦士ガンダム』において、主人公の地球連邦軍サイドの登場人物であるお気楽なキャラ、カイ・シデンがいます。彼はジオンのスパイをしているミハルと出会い、そして起こった「出来事イベント」でミスをしてお気楽思考から真剣に戦争を終わらせるための戦いへ向かう「戦士」として覚醒するのです。これでカイが最終決戦にも進んで参加するだけの気質を付与しました。もしミハルとの「出来事イベント」が起こらず、話が進んでしまったら。おそらくカイはア・バオア・クー最終決戦には参加しなかったかもしれません。

 連載しているときは「テコ入れ」をしてキャラを立てることも考えてください。

 たったひとりが変わることで、物語全体が引き締まることもあります。





最後に

 今回は「もう駄目だと感じたら」について述べました。

 ストーリーが駄目なら改めること。もし連載小説でストーリーが駄目になったら、潔く連載を畳むかある方向性に向かって「エピソード」を畳みかけるかしてください。

 登場人物が駄目なら、その人物が出てくるところまで破棄してください。もし連載小説であれば、過去に戻って破棄できません。その場合は「出来事イベント」を失敗させて、人物の考え方に変更を加えていくようにしてください。

 いずれの場合も一気に変えようとはせず、じょじょに軌道を修正するようにしましょう。



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