670.事典篇:ケルト神話:母神ダヌの子
今回は「ケルト神話の女神ダヌの子」をまとめました。
とくにヌアザ王はつねに戦いの先頭に立ち、武勇を馳せてきたのです。
しかしフォモール族の「邪眼のバロール」に敗北し、后ヴァハとともに殺されてしまいます。
その後の精神的主柱はダグザとディアン・ケヒトが担いました。
事典【ケルト神話:母神ダヌの子】
アイルランドにやってきた五番目(四番目とも)の種族であり、生命の母神ダヌより始まり、最高神ダグザを頂点とする神々とされています。
生命の母神ダヌ
神話上わずかにしか見られません。アヌやブリギッドとも同一視されます。ダグザ、ヌアザ、ディアン・ケヒト、ゴヴニュ、リルの母でもある。
豊穣と肥沃の大地母神アヌ
マンスターに住み、その地の豊穣の女神であるとされています。別名としてダーナやダナンがあるが本来は別の存在を指す名であったと推測されています。
ダグザ
エラタと母神ダヌの息子。オグマ、ミディール、オェングス、ブリギッド、ボォヴたちの父。
アイルランド神話の最高神と考えられています。豊穣と再生を司ります。
槍を持った力持ちの神とされ、ガリアの槌と盃を持つ神スケッロスに対応するとされます。
おどけた洒落の効く神として描かれており、ダグザが人に小馬鹿にされるが寛大に耐え忍ぶという結末の神話すらあるのです。
破壊と再生、生と死の両方の力を兼ね備えた巨大な棍棒を持ち、天候を自在に操ることで豊作を招き、感情や眠りを誘うことができる三弦の金の竪琴、そしてダーナ神族エリンの四秘宝のひとつにして無限の食料庫である「大釜」を所持しています。
外見は醜悪に記されており、丈の短い衣を身に着け、毛皮の長靴を履いているのです。
温厚な性格をしており寛大で慈悲の心を持った善神であったため、多くの女神たちに慕われました。
粥好きで痛い目に遭っています。
フォモール族と戦うために、ルーがダグザを偵察に差し向けたところ、敵が粥を大量に用意して帰還が遅れてしまったと言われるくらいです。二度目の「マグ・トゥレドの戦い」の時点では孫世代にあたるルーが旗頭として仰がれており、ダグザよりも格が上とされています。
武芸に秀で、フォモール族との戦いを前にして「すべての神々の偉業を私ひとりでやってのけよう」と万能神らしい宣言をしました。戦いののち彼はルーの後任の形で
夜に帰ってくる夫ネフタンの妻である女神ボアーンとの逢瀬が見つからないよう、ダグザはオェングスが生まれるまでの九カ月もの間、太陽を出したままにしたと言います。白夜のあるアイルランドならではの逸話です。
ダグザの王宮「ブルー・ナ・ボーニャ」にはミディールの元で成長したオェングスが昼夜つまり永遠に住むこととなりました。
ヌアザ
母神ダヌの息子。
病を治す力を持つとされ、水に縁のある神です。戦いの神としても伝えられ、その強大な力はゼウス(ユーピテル)にたとえられます。
フィル・ヴォルグ一族との「モイツラの戦い」ではエリンの四秘宝「ヌアザの剣」を振るって陣頭指揮を取り戦場にて武勇を轟かしたのです。四日間に渡る合戦の末、フィル・ヴォルグの王エオホズ・マクアークを破りダーナ神族は勝利するのです。しかし合戦の際フィル・ヴォルグ最強の戦士スレンとの一騎討ちで右腕を切り落とされてしまいます。ケルトの掟において、支配者はその肉体が完全である必要があったため王権の喪失したのです。
そのため、王位は七年の間ブレスが継ぐこととなりました。のちに医神ディアン・ケヒト作の銀造りの義手を得て力を回復し、その息子ミアハによって腕は完治して王位に再臨を果たしました。
王権が復活して暴君ブレスは王座から引きずり落とされ、これに不服なブレスはフォモール族の大軍勢を率いてダーナ神族に戦いを挑んできました。これが一度目の「マグ・トゥレドの戦い」です。
ヌアザも武器を取り戦いましたが、巨人フォモール族の狂暴な蛮力の前にダーナ神族は敗れ去ります。
ヌアザは妃のヴァハとともにバロールに殺害されました。
以後フォモール族の支配の下、ダーナ神族は圧政を強いられるのです。
ダーナ神族はルーの天才・多才ぶりを見てフォモール族に勝利するための指導者になるよう懇願します。
ヌアザの後継者として王位に即いたルー率いるダーナ神族軍は、二度目の「マグ・トゥレドの戦い」を起こして「邪眼のバロール」を射殺し、フォモール族に完勝したのです。
ディアン・ケヒト
母神ダヌの息子。生命と医療、技術の神。娘にエーディン、息子にキアン、ミアハ(ヌアザの腕を繋ぎ直した)などを持ちます。キアンとエスリンの息子ルーは孫に当たるのです。
ダーナ神族とフィル・ヴォルグ族の間で開かれた「モイツラの戦い」において、ダーナ神族の王ヌアザは片腕を切断されて王権を失います。ヌアザの失われた腕の代わりに指の先まで意思通りに動く銀の義手を作り上げたのがディアン・ケヒトです。
伝承によっては銀の義手を得てヌアザが王に復権した説と、ミアハによって腕が繋ぎ直されて復権した説があります。
鍛冶の神ゴヴニュ
母神ダヌの息子。三神として知られているダーナ神族の工芸の神の一柱で鍛冶を司ります。他に金属細工や鋳造の神クレーニュ、大工の神ルフタがいる。
魔法の槌を三振りするだけで完璧な武器を製造することができます。工芸の三神の中では最も優れた技術を持っていたとされるのです。彼の造った武器は必中かつ一撃で致命傷を与えることができると謳われます。ディアン・ケヒトと協力してヌアザの銀の腕を造ったとされるのです。
神々の鍛冶師であるゴヴニュたちは戦場で壊れた武具を奇跡的な速さで直して勝利に貢献したのです。
海神リル
女神ダヌの子。ウェールズ神話においてはスィールと呼ばれる海神。
最後に
今回は「ケルト神話:母神ダヌの子」についてまとめてみました。
母神ダヌとその子どもたちを集めました。
次回は「ダグザの子ら」についてまとめています。
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