606.明察篇:越えられない壁
今回は「伸び悩みの壁」についてです。
どうすれば「伸び悩みの壁」を越えることができるのでしょうか。
越えられない壁
小説は書き続ければ文才が必ず伸びていきます。
しかしいつか必ず「壁」に行き当たるものです。
ある程度順調に書き進めてこられたのに、あるとき急に書けなくなります。上達を実感できず、伸び悩んでしまうのです。
そうなると「これ以上は望めないのではないか」と不安に駆られます。
伸び悩んでしまったら
どんなものであっても才能はぐんぐん伸びていきます。
しかしあるとき「壁」は現れるのです。これまで順調に伸びてきた才能が停滞したように感じられる。そんな状態です。
「小説賞・新人賞」を獲りたいと願って小説を書いていた場合、あきらめてしまおうかと思ってしまいます。そして「スランプ」に陥るのです。
そこであきらめてはなりません。
ですがこれまで以上に頑張っても総合評価ポイントが上がらず、ランキングに載ることもできなくなってしまいます。
これまで応援してくれた周囲の方からも反響がこなくなり、無言のプレッシャーがあなたにかけられるのです。そうなると悪循環に陥って「スランプ」が悪化します。
では越えられない「壁」にぶつかって伸び悩んでしまったらどうすればよいのでしょうか。
今一度「基礎」に立ち返って、あなたが持っている武器を見つめ直してください。
先に突き進もうと焦るのではなく「基礎」に立ち返れば、その後格段に成長していきます。
限界に直面するのは、スタート地点に問題があることがほとんどです。
「基礎」がしっかりしていないと、書く技術を駆使する段階でうまく表現できなくなってしまいます。
どうしても書けない状況に陥ったら、一度「基礎」を見つめ直してください。
あなたの持っている「命題」はなんだったのか。そこから生まれた今作の「テーマ」はなんだったのか。「あらすじ」はどうなっていたのか。「箱書き」は、「プロット」は。第一章の内容は。
このようにスタート地点から見直していけば、伸び悩んでしまった原因が見えてきます。
酷評こそ文才を伸ばす材料
短編小説にせよ長編小説にせよ連載小説にせよ。好評を博していると不安が募ってきます。
「本当にこの書き方で皆が喜んでくれているのだろうか」「本当にこの展開で進めてよいのだろうか」という具合に。
あまりにも好評だと直すべき箇所に気づかず、成長が実感できなくなるのです。
ところが酷評されると「自分に足りないところ」が明確になります。次に小説を書くとき「足りないところ」を意識して手直ししていけば、評価も筆力も自然と上がるのです。
あなたを成長させるに「酷評されても萎縮しない」こと、「足りないところを積極的に変えていく」ことを意識しましょう。
好評を博すよりも酷評でこき下ろされたほうが、あなたの成長度合いは大きくなります。ですので酷評されたら喜んで「指摘されたところを積極的に変えていく」のです。
酷評された箇所を「どのように変えていけば読み手に喜んでもらえるのだろう」という視点で点検していきます。
もし「まったく意図していなかったから」「自分にはそもそも無理だったから」「小説講座に通っていなかったから」などと理屈をつけてしまうと、せっかくの成長の機会を失うことになるのです。あまりにももったいない。
「できなかった理由」を探すよりも「よりよくなる理由」を探したほうが賢明です。
支えてくれる人を選ぶ
あなたの執筆活動を支えてくれる人は、よく吟味してください。
「あなたなら必ず小説賞が獲れるわ」と後押ししてくれる方を身近に置きましょう。
その発言にたとえ裏付けがなくても、そう言ってくれるだけで書き手は心強いのです。
つい「そうだよね。私にも小説賞が獲れるんだ」と気をよくします。
だから創作意欲も湧いてくるし、楽しく小説を書けるから結果もついてくるのです。
もし「そんなの無理に決まっているぞ」「お前に小説賞が獲れるものか」と言われ続けたら、刷り込まれて「いくら頑張っても私に小説賞は獲れないんだ。これ以上頑張ったって時間の無駄なんじゃないか」と気に病んでしまいます。
あなたの夢を後押ししてくれるのは、自分の「夢を叶えた」ことのある方だけです。
こういう方は「夢を叶える」経験を実際にしたことがある。だから努力すればどんな「夢も叶えられる」と自信を持って言ってくれます。こういう方は本当に心強いのです。
小説賞・新人賞を目指しなさい
私はあなたに「小説賞・新人賞」を獲りにいきなさい、と伝えています。
「いや、私の実力ではとうてい獲れませんよ」と普通は思うはずです。
では「なぜあなたの実力では獲れない」と思うのですか。こう切り返されると「実力不足」以外の答えは返ってこないはず。
もしあなたが目指す「小説賞・新人賞」の傾向と対策が立てられるのだとしたらどう思いますか。
あなたは当該の「小説賞・新人賞」を過去に受賞した作品を読んだことがあるのでしょうか。
「小説賞・新人賞」を獲得した作品は、そのまま読むと拙いところが随所に見られます。それなのに受賞して「紙の書籍」化されたのです。
ひどい場合は、あなたの小説よりも格段に劣る作品でも受賞することがあります。
小説はつねに解答のある試験ではないのです。
大学受験までは、つねに模範解答のある試験を行なっています。
しかし大学の卒業論文や子育てには模範解答などありません。
卒業論文なら大学OB・OGにコツを聞いたり、子育てならママさんネットワークのようなもので地域の人と共同で子育て情報を仕入れたりして日々過ごしています。
大学受験以後は、詰め込み教育では解決しない問題ばかりです。
あなたの感性によって文字を紡ぎ、文章を編んで読み手に読んでもらいます。それで読み手が情景・イメージを思い浮かべられるかどうか。書かれた文章は千差万別です。ですがある文章でイメージがありありと見えるのなら、文章としての意義は達成されています。
正直に言えば「小説賞・新人賞」の一次選考を突破するのに才能なんて要りません。「正しい日本語」で「イメージが喚起される文章」が書けていれば通過できるからです。
しかし二次選考は「物語の面白さ」が評価対象ですから才能が必要になります。その才能を伸ばすには、能力を磨かなければなりません。
「
自分を信じなさい
私には小説を書いてきた経験が浅い。経験が浅いからうまく書けない。うまく書けないから自信が持てない。自信が持てないから頑張れない。頑張れないから成果が出ない。成果が出ないから経験を積めない。
ほとんどの書き手はこの無限ループを目の前にしています。
それでもあきらめずに小説を書いてきた人だけが成功を手に入れるのです。
では具体的にどうあきらめなければ成功を掴めるのでしょうか。
端的に言います。
「自信を持つ」ことです。
「根拠のない自信」でかまいません。
そもそも誰にでも「成功前」の状態はありました。それでもあきらめなかったのです。
「あの人はたくさん小説を書いてきたから」「あの人は地頭力がいいから」「あの人は小説セミナーに参加しているから」といった言い訳なんて、しょせん「自分は彼らとは違うからできなくて当然」だと思い込もうとしているだけ。
これから結果を出そうと思っている方が、最も信じなければならないのは「自分」です。結果が出ないときは誰にでもありますし、それに耐えるだけの心の強さも求められます。
小説を書きたければ、まず「自分を信じて」ください。
最後に
今回は「越えられない壁」について述べました。
伸び悩んでしまったら「基礎」に立ち返ること。酷評こそが真に成長の糧になること。支えてくれる人を見つけること。
「壁」に立ち向かうときは、これらのことを実践してください。
そして「小説賞・新人賞」を目指すこと。自分を信じることで「壁」のさらに向こうを見据えましょう。
自動車教習所の実技で、生徒が近くの前方しか見ていないことを教官は必ず見抜きます。正しくは道の先を見続けなければなりません。なぜ教官は本人でもないのに見抜けるのでしょうか。ハンドルを切るタイミングでわかるのだそうです。カーブの先を見ながらならハンドルをゆっくり切れます。手元しか見ていないでいると急ハンドルを切ることになるのです。教官はこの差を見ています。
小説も、手元のブックマークや評価だけを見るのではなく、「小説賞・新人賞」を目指してみてもよいのではないでしょうか。
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