605.明察篇:術を磨く
今回は「
小説を書くには「技術」が必要です。そのうち「
しかし「
いったい「
小説を書くには「技術」が必要です。
多くの書き手は何本も作品を書くことで「
堅実に上達するには「
しかし「技術」という言葉には「
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つまり小説を書くときの「
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「
私は本コラムで「短編小説から始める」こと、「長編小説を何本も書く」こと、そのあとで「連載小説に挑む」ことについて書いてきました。これは「
ですが先に「
「じゃあなぜ先に『
ですが本コラムそのものが「
本コラムを先に読んで「
さしずめ城の設計図を作ってから土台を組み上げていくか、設計図を持たずにとりあえず土台を組み上げてから考えるかの違いだと言えます。どちらが速く無駄なく土台を築けるかは一目瞭然ではないでしょうか。
「
上達が速い方は、総じてコツを見抜くのがうまい。ちょっとやらせてみたら、ものの数回でコツを見抜いてしまいます。こういう方は読書量が多くて「
逸材でない方はどのようにして「
どう書くのがよくて、どう書くのが悪いのか。この判別を徹底的に憶えてください。
本コラムや「小説読本」の類いを読み、効果的・効率的な書き方を身につけるのです。
「
小説の「
ただし「
正しい「術」を身につけるためには、多くの「小説の書き方」「小説読本」を読み、取捨選択して「正しい」と思われるものを見つける他ありません。
本コラムは私をフィルターとして「より正しいと思われる
「右を向け」と言っておいて舌の根も乾かぬうちに「左を向け」ということもあったでしょう。それは各々の「小説読本」でそれが正解とされているからです。
読み手の興味を惹くような小説を書くには、読み手の裏をかかなければなりません。読み手が右に関心を移した瞬間、左に言及する。惹きつけて関心が向いたときに殺し文句を読ませるようなものです。
これができるようになれば、「
「コツを見抜く力」は一種の「才能」です。ですが「なにか共通点があるはずだ」と考えながら学んでいれば、誰でも「コツを見抜く力」は培えるのです。
心理の壁
アメリカのカール・ルイス氏が陸上競技・百メートル走において、人類で初めて10秒の壁を破ったとき、それは衝撃的な出来事として世界中に広まりました。
しかしライバルたちはカール・ルイス氏がどのようにして10秒の壁を破ったのか。フォームやストライドなどを徹底的に研究して「
日本人で初めて10秒の壁を破ったのは桐生祥秀氏でした。しかしそれ以来いまだに10秒の壁を破る日本人選手は現れていません。平成の間に次の9秒台が見られるのか。期待するだけでワクワクしてきます。
(平成では10秒の壁を破る他の選手は現れませんでした。しかし令和においてサニブラウン・アブデル・ハキーム氏が9秒97の日本記録を叩き出しました)。
これらは「心理の壁」です。
「できるはずがない」という心理があるから「できない」。
「できた人がいるから自分にもできるはずだ」という心理があるから「できる」ようになるのです。
小説の「
なぜそれが達成できたのか。それを分析してエッセンスを抽出し、目に見えるように映像化したものが「
あいまいなイメージではなく、抽出した濃いエッセンスに裏打ちされた明確で強固なイメージを持つこと。そのイメージを読み手の目にも見えるように描くこと。それが小説でいう「
義務教育で「小説の書き方」は教わりません。
小説を書きたい人は自分で何本も書いて「
たくさん書いて「
ですが、すぐれた彫刻師は完成像が脳裡で明確なイメージとなるまでノミを振るわないと言います。
恐ろしいことに、日本の義務教育・高等教育は「脳内イメージ」をまったく考慮していません。脳力はすべて文字情報を憶えることに使われます。
漢字の読み書き、算数・数学の公式、歴史の年表や出来事や人物、物理・化学の方程式、英語の単語と文法。すべて文字情報として記憶しなければなりません。「脳内イメージ」を必要としない試験が出されるのです。
しかし大学に入ると高校までで記憶してきた文字情報を関連づけて「脳内イメージ」を構築し、文字情報だけでは答えが出ない問題へ向き合うことになります。
すぐれた書き手は「脳内イメージ」を読み手へ正確に伝わるよう文章を紡ぎます。それが小説を書くときの「
すぐれた彫刻師のように完成像を明確なイメージとして捉えます。歴史的背景や場の空気感、人物たちの表情など。イメージをどうやって読み手に語って聞かせようか。それを考えるのです。
もちろん数多く小説を書いて「
しかし二次選考の高い壁を「
そういうときこそ「
最後に
今回は「
「技術」という単語の「
「
力押しでとにかく数を書いて身につけるのが「
この差がわかれば、小説を書くときに「
「
そのエッセンスを抽出したのが、本コラムです。
六百近い連載の端々に「
もし執筆に行き詰まったら、サブタイトルを見て該当しそうな投稿回を開いてお読みくださいませ。
きっとお役に立てると思います。
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