489.飛翔篇:秘密は蜜の味
今回は「秘密」についてです。
「あらすじ」「キャプション」で作品の魅力を伝えることが最優先です。
しかし「秘密」を作っておかないと、読み手が「あらすじ」「キャプション」だけで満足してしまいかねません。
読み手は「秘密」があると思うから、あなたの小説を読もうとするのです。
秘密は蜜の味
あなたの作品の「あらすじ」「キャプション」には「秘密」はありますか。
現在の状況を書いておき「この先どうなるか」を伏せておけば「秘密」が作り出せるのです。
なぜ「秘密」が必要なのでしょうか。
なぜ秘密にするのか
もし「秘密」がなければ、「あらすじ」「キャプション」を読んだだけで読み手は満足してしまい、本文を読むまでもなく「回れ右」して立ち去っていきます。
最悪の場合「タイトル」で壮大なネタバレをしていて、「あらすじ」「キャプション」を読むまでもなく見切られることがあるのです。
ただし小説投稿サイト『小説家になろう』のハイファンタジージャンルでは、あえて「タイトル」で壮大なネタバレをしている作品が上位を独占しています。
なぜ「タイトル」でネタバレをしているのに上位を独占できるのか。
仮定ですが「読みたい作品を選んでいる時間がもったいない」からだと思います。
『小説家になろう』でハイファンタジーを読みたい人は中高生や社会人など時間に余裕のない人が多く、「タイトル」を見て「これ面白そうだな」と思ったものを片っ端からクリックしているのです。
閲覧数(PV)が増えますから、相対的にブックマーク数も増えますし、文章評価・ストーリー評価も多くなる傾向にあります。
「タイトル」でネタバレしているからこそ、その作品がどんな物語なのか説明されることなく判断できるのです。
その他の小説投稿サイトでは「タイトル」や「あらすじ」「キャプション」でネタバレをしてしまうと、読み手はそれだけで納得してしまってクリックしてくれないのです。
秘すれば花
「この先を読みたい」と思わせて検索一覧から作品をクリックさせるには、ギリギリのところまで「あらすじ」「キャプション」で言及しても、「核心」は「絶対に書かない」ことです。
「核心」が「秘密」になっていれば、それが知りたくて読み手はあなたの作品をクリックしてくれます。
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「尾行」スキルを持っている主人公が、魔族を見つけたので跡をつけてみた。すると魔王のいる場所までたどり着いてしまった。
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ここまでは核心に触れていません。
この物語なら主人公が魔王と対峙して話し合いになるのか戦闘になるのか、はたまたいったん場所を離れて勇者のパーティーに魔王の居場所を教えるのかなど、「秘密」にすることによって読み手に「この先が読みたい」と思わせることができます。
「秘密」にすればこそ食いつきが異なってくるのです。
小説投稿サイトに適切な「タイトル」と「あらすじ」「キャプション」を書いたにもかかわらず閲覧数(PV)が増えてこない一因として、「あらすじ」「キャプション」でネタバレしてしまっていることが考えられます。
「あらすじ」「キャプション」には「秘密」が必要です。
「秘すれば花」とも言われます。
「秘密」があるからこそ「この先どうなるんだろう」とワクワクしてくるのです。
人は「秘密」を見ると「暴きたく」なります。
その心理を生かして、「あらすじ」「キャプション」に「秘密」を設けるのです。
「矛盾」と同様、人を惹きつける力があります。
「この先はナ・イ・ショ」の部分を意図的に作ってください。
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名の知れた剣士が加わったため勇者パーティーから追い出されてしまった。一念発起して修行の旅に出る。強敵との戦いを通じてレベルが高まり、敵の持つスキルを習得するスキルがあることが判明し、勇者パーティーへの復讐を誓うのであった。
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上のような「あらすじ」「キャプション」なら、「勇者パーティーへの復讐」が成功するのか失敗するのかが読み手にはわかりませんよね。
そこが「秘密」になっていることで、「早く復讐する場面を読みたい」と感じて検索一覧からクリックされます。
本文を読んでいって「復讐する場面」にたどり着くまで読み手を惹きつけることができるのです。
その過程でブックマーク数も右肩上がりに増えていきます。
「核心」を「秘密」にしない理由なんてありませんよね。
秘密は蜜の味
このように「秘密」は、存在するだけで人々の好奇心に火をつけて「暴きたくなる」ものなのです。
そうであれば、小説の本文にも「秘密」を混ぜてみましょう。
主人公に隠された「秘密」とはなにか。伝説の勇者の子孫かもしれませんし、魔王の子かもしれませんし、現代人が転生したのかもしれません。
仲間に隠された「秘密」とはなにか。伝説の勇者かもしれませんし、魔王かもしれませんし、魔王の部下かもしれませんし、実は主人公に好意を寄せているのかもしれません。
敵に隠された「秘密」とはなにか。実は乞食から這い上がった成り上がり者かもしれませんし、魔界の王の地位を追放された者かもしれませんし、国民に襲いかかる魔界の進軍を抑え込んでいる功労者かもしれません。
以上は人物に関してですが、場所・土地に隠された「秘密」があるかもしれませんし、アイテムに隠された「秘密」があるかもしれません。
『アーサー王と円卓の騎士』では湖の妖精に育てられた騎士ランスロットや、湖の妖精から拝領したアーサー王の佩剣「エクスカリバー」は、ともに「湖の妖精」にまつわる「秘密」ですよね。この秘密は他の円卓の騎士たちや国民のほとんどは知りません。だから「秘密」なのです。
ちなみにアーサー・ペンドラゴンが岩から引き抜いた剣は「エクスカリバー」ではありません。「カリバーン」と呼ばれています。あくまでも「引き抜けたら次の王となる資格を持つ者」という試練の剣でしかないのです。
それでもアーサー王の佩剣といえば「エクスカリバー」が有名なので、岩から引き抜いた剣が「エクスカリバー」だと誤解されても致し方ないとは思います。
騎士ランスロットが王妃と密通していた「秘密」なんて、今では写真週刊誌が追いかけそうなネタですよね。
そういう「秘密」は読み手の注目を集める「蜜」になります。
読み手は「甘い蜜」を求めるように「秘密」に食らいついてくるのです。
まるで蝶か蜂か熊のようなもの。
どれだけの「秘密」かで、より大物が食らいついてきます。
最後に
今回は「秘密は蜜の味」について述べました。
小説には「秘密」が付きものです。
「秘密」のない小説は面白みに欠けます。
文学小説にも「秘密」を抱えている作品が多くあるのです。
突き詰めれば、小説とは「書き手が示している『秘密』を暴く」ために物語が推移します。
「秘密」の意外性を伝えるだけで、読み手にワクワク感が生まれるのです。
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