375.分類篇:今より読まれるあらすじの書き方
今回は『小説家になろう』の「あらすじ」、『カクヨム』の「紹介文」、『ピクシブ文芸』の「キャプション」についてです。
今より読まれるあらすじの書き方
『小説家になろう』の「あらすじ」、『カクヨム』の「紹介文」、『ピクシブ文芸』の「キャプション」。
この三つは、ともに検索結果やランキングに載ったとき、読み手が小説の内容を知るために読む部分です。
以下「あらすじ」という単語に統一して述べてまいります。
あらすじは企画書を参考に
最初の「あらすじ」は、あなたが小説を書くときに作成した「企画書」を参考にしましょう。
「企画書を書いていない」ですって?
顔を洗って出直してきなさい――とは言いません。
本コラムで提案したものなので、コラムすべてを読まない限り、まず「企画書」を知らないと思います。
そこで「企画書」を改めてご説明致します。
「企画書」とは「これからどんな小説を書くのか」を端的に表した文章のことです。
「主人公がなにをする話」のか。これがスタートです。
ゲームのエニックス(現スクウェア・エニックス)『DRAGON QUEST』では「主人公が竜王を倒す話」になります。
川原礫氏『ソードアート・オンライン』では「主人公がデスゲームをクリアする話」です。
このように「主人公がなにをする話」なのかが定まっていないと、どのような小説になるのか「道しるべ」がありません。
ここに「主人公がどうなりたい」と「主人公がどうなった」を加えて物語の枠を設定します。
「主人公が(起)」「どうなりたくて(承)」「なにをして(転)」「どうなった(結)」とこれだけで四部構成が定まるのです。
『ソードアート・オンライン』なら「主人公が、VRMMORPGをクリアしたいので、デスゲームをクリアして、全プレイヤーを解放した英雄となった」という物語です。
ものすごく簡単ですよね。
この「企画書」をさらに詳細にブラッシュアップします。
――――――――
ある理由で人との関わりを恐れるようになった桐ヶ谷和人(キリト)は、ベータテストから参加していたVRMMORPG『ソードアート・オンライン(SAO)』が正式サービス開始するとともにそこへログインする。一万人のユーザーが参加した『SAO』は、百層ある「浮遊城アインクラッド」を誰かが攻略しなければログアウトできず、『SAO』で死ねば現実でも死ぬ「デスゲーム」へと様変わりした。「黒の剣士」の二つ名を持つキリトは時に独りで時に仲間とともに「アインクラッド」攻略へと向かっていく。そして七十五階層を攻略したとき、キリトはある人物の正体を看破し「全プレイヤーの解放」を賭けた一対一の「デュエル」に挑む。そこで奇跡的な勝利を収め、デスゲームは七十五階層でゲームクリアされた。そして「黒の剣士」の名は『SAO』からプレイヤーを解放した英雄として語り継がれるようになった。
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これが私が想起した『ソードアート・オンライン』の「企画書」です。
理想的な「あらすじ」は、この「企画書」を土台にして生み出されます。
あらすじの書き方
『小説家になろう』では世界観によって細かくジャンル分けされているため、「異世界ファンタジー」であることを「あらすじ」で説明する必要がありません。
ジャンルで「ハイファンタジー」を選択するだけでいっさいの説明を省けるのです。
『ソードアート・オンライン』なら「SF」ジャンルの「VRゲーム」に属します。このジャンルを選択している限り、字数の限られた「あらすじ」で「VRMMORPG」の説明はしないほうがよいのです。
次に「企画書」の中から「主人公が(起)」「どうなりたい(承)」を中心に抜き出します。
多少「なにをする(転)」を入れてもかまいませんが「
ではまた『ソードアート・オンライン』を取り出して「あらすじ」づくりをしてみます。
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ある理由で人との関わりを恐れるようになった桐ヶ谷和人(キリト)は、ベータテストから参加していたVRMMORPG『ソードアート・オンライン(SAO)』が正式サービス開始するとともにログインする。一万人のユーザーが参加した『SAO』は、百層ある「浮遊城アインクラッド」を誰かが攻略しなければログアウトできず、『SAO』で死ねば現実でも死ぬ「デスゲーム」へと様変わりした。「黒の剣士」の二つ名を持つキリトは時に独りで時に仲間とともに「アインクラッド」攻略へと向かっていく。
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「企画書」の「主人公が(起)」「どうなりたい(承)」に「アインクラッド攻略」へと向かう「転」の切っ先だけを混ぜてあります。
これでどうでしょうか。
刺激的な、読み手を惹き込むキーワードとして「VRMMORPG」と「デスゲーム」が挙げられると思います。
この二つは今でこそ「テンプレート」ですが、『ソードアート・オンライン』を個人ブログで連載していた当時なら「かなりひねりの利いた物語」であることが期待できたはずです。
私が本コラムで「企画書」を書いておくようにオススメしている理由は二つあります。
ひとつは「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」と段階を経ることで、物語の方向性を始めのうちから明確にしておきたいからです。
方向性が正しければ羅針盤のように自由に航海できるようになります。
もうひとつが今回語っている『小説家になろう』の「あらすじ」、『カクヨム』の「紹介文」、『ピクシブ文芸』の「キャプション」を作るうえで頭を悩ませることがなくなるからです。
頭の中に明確な「プロット」が存在しているとしても、まずは「企画書」を書いて頭の外に出しておきましょう。
そうすれば「あらすじ」「紹介文」「キャプション」で迷うことはなくなるのです。
最後に
今回は「今より読まれるあらすじの書き方」について『ソードアート・オンライン』を素に述べてみました。
本コラムをここまで読んでこられた方には、なんてことはありません。
ただ「企画書」を手直しするだけでいいのです。
今回で初めて本コラムをお読みいただいた方は、コラムNo.144「応用篇:企画を立てる」、No.180「再考篇:企画を立てる」をまずはお読みくださいませ。
小説を書くときは、まず「企画書」を作って「主人公が(起)」「どうなりたくて(承)」「なにをして(転)」「どうなった(結)」という四部構成を定めてみましょう。
それだけで格段に面白い小説をより簡単に書けて、魅力的な「あらすじ」「紹介文」「キャプション」も作れるのです。
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