367.孫子篇:十一.九地篇
今回は「状況」と「相手の倒し方」と「ランキング争い」についてです。
孫武が最も語りたかった部分なので、分量は多めです。
孫子篇:十一.九地篇
「あなたの小説を取り巻く状況」「相手の倒し方」そして引き続き「ランキング争い」について見ていきましょう。
あなたの小説を取り巻く状況
あなたの得意分野の小説を投稿して、読み手を惹きつけてください。
他の書き手の得意分野に浅く踏み込んだ小説を投稿したら、継続的に連載して読み手にアピールしてください。
先に読み手の支持を得られれば有利になる小説を投稿できるようにし、もし先を越されたら無理にその小説を投稿しないで相手とは違う時間帯に投稿してください。
あなたと他の書き手がともに得意とする分野の小説を投稿するときは、連載を落とさないようにして「テンプレート」を活用してください。
書き手たちに人気のあるジャンルで、最初に「テンプレート」を作った書き手が多くの読み手から支持される小説を投稿したら、「テンプレート」を用いた作品の書き手たちと仲良くなってください。
他の書き手の得意分野に深く踏み込んで退くことが容易ではない小説を投稿したら、他の書き手からフォロワーを奪ってください。
情報収集が追いつかず知識の浅い小説を投稿したら、速やかにやり過ごしてください。
当面のフォロワーが少なく、かといってやり直そうとしても手間がかかり、こちらがまったく評価されなくなる小説を投稿したら、見切りをつけて早く連載を畳んでください。
素早く必死になって投稿すれば評価を得られるが、投稿できない日ができるとフォロワーを失ってしまうような小説を投稿したら、とにかく全力で
「文豪」は他の書き手が平常心で執筆できないように画策しました。(芥川龍之介氏と谷崎潤一郎氏のように)。
こちらにとって有利であれば投稿し、不利であれば投稿を焦らず時機を待ったのです。
相手の倒し方
総合評価ポイントが高くて正統派の小説が読み手を集めているときは、その作品の最もたいせつにしているところを盗めば、いくらか読み手をこちらに惹きつけることができます。
とにかく迅速に、相手の不備に乗じて思いもよらない方法で警戒していない要点を投稿するのです。
他の書き手が得意とする分野に投稿しようと考えているなら、とにかく連載することに専念し、読み手を少しずつこちらに奪ってこれればやる気が湧いてきます。
書き手が読み手の望む展開を考えて、他の書き手が予想もつかない思惑で要点を投入すれば、たとえ早期に畳むことになっても、読み手は最後までついてきてくれるのです。
読み手は「どれを読めばいいんだろう」という状況に放り込まれると、とにかく面白そうな「タイトル」「キャッチコピー」と「あらすじ」「キャプション」を見つけることに必死になります。
面白そうな「タイトル」「キャッチコピー」と「あらすじ」「キャプション」が書ければ自然とあなたの小説を読んでくれるようになりますし、冒頭を読んでみて「これは面白そうだ」と思わせられれば強制されなくても続きを読んでくれるようになります。
読み手が無料で小説投稿サイトの小説を読むのは、お金がないからではありません。
必死になって連載を追おうとするのは、時間がないからではありません。
あなたが作品を投稿し、読み手に「これを読まずにいられるか」と思わせるように計らうからです。
「ランキング」上位を占める書き手の作品は、「冒頭」で読み手を食いつかせて「
「冒頭」と「
あなたの小説が盤石の態勢を整えていてもまだじゅうぶんではありません。
読み手に読んでもらうためには、きちんと文法が守られていることが必要です。
「読みたい」と思う読み手と「読んでもいいかな」と思う読み手にそれぞれ読んでもらうためには「テンプレート」の活用が求められます。
だから「ランキング」上位を占める書き手の作品は、「テンプレート」を用いて読み手を多く集め、結果ブックマークや評価が自然と高まっていくのです。
書き手がするべきなのは、誰にも悟られないように物語の展開を慮り、きちんと連載を続けていくことです。
だから読み手も身を乗り出してでも「読もう」という気になってくれます。
読み手からは先々の展開は予想がつきません。一定の方向性が見えてきたら展開に変化を加えて読み手の興味をさらに惹くのです。
ランキング争い
投稿して「ランキング」を争うとき、「タイトル」「キャッチコピー」と「あらすじ」「キャプション」と「冒頭」で読み手を食いつかせます。
また他の書き手の得意分野に踏み込んだ小説を書いたら、退路を断って読み手に集中的に読んでもらえるようにハイペースでの連載を心がけましょう。
これが書き手のするべきことなのです。
臨機応変に、読み手の状況に応じて展開を工夫し、そこから湧き起こる人情の自然な道理などについて、書き手はよくわかっていなければなりません。
読み手を深く感情移入させるために、できるだけ連載ペースを乱さないことです。
浅くしか感情移入させられないのであれば、「もうこの小説はいいや」と投げ出されます。
読み手の心情としては、多くの作品からどれを選ぶか迷うから「タイトル」「キャッチコピー」と「あらすじ」「キャプション」に惹きつけられます。
「これは読みたい」という状態にできれば夢中で読んでくれるのです。
「どうしてもこれでなければ」という状態にまで陥っていれば、書き手に早く続きを書いてほしいと思うようになります。
他の書き手の考えていることつまり腹の内を知らなければ、仲良くなることができません。
「テンプレート」を知らなければ小説を投稿しても反応は厳しくなります。
その「テンプレート」を活用している人を見つけなければ、「テンプレート」を用いる意義がありません。
以上述べてきたような多くのことをひとつでも知らなければ、いわゆる「文豪」とは言えないのです。
「文豪」ともなれば抗える書き手は少なく、睨みを利かせれば皆が道を譲ります。
こうなると他の書き手と争うことなく、自分の望みを明らかにするだけで天下を獲れるのです。
意表を突く「読者サービス」を行なえば多くの読み手でもひとりを動かすように操れます。
読み手を動かすにあたっては、淡々と連載の投稿を続ける中に「読者サービス」の回を入れるだけにし、前もって「読者サービス」があることを告げてはなりません。
また読み手の利益になることだけを示して、害になることを告げてはなりません。
読み手を耽溺させるような状況に置くことでこそ、あなたの小説は生き残れます。
「ランキング」を競ううえで重要なのは、他の書き手たちの意図を詳しく知ることです。
意図を知ってその展開に合わせて連載をスタートさせる時機を決め、他の書き手が連載を終了したときに「ランキング」に載れるよう計らうのです。
こういう人を「文豪」と言います。
だからこそ連載開始をするときはストックをためるなど準備を万端に整えておくのです。
他の書き手にスキが見えれば好機ととらえて速やかに連載を開始します。
そして相手の状況に応じて連載を続けながら「
このように、始めはしおらしくしておいて相手を油断させ、ここぞというときに一気に投稿することで相手は「ランキング」を死守できなくなります。
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「あなたの小説を取り巻く状況」「相手の倒し方」について具体的に述べられています。
正攻法に主眼を置いており、『孫子』はここがキモなんですね。
それだけに、文章も長く、一読での理解が難しい篇だと思います。
ちなみに「ランキング争い」の最後に出てきた「始めはしおらしくしておいて相手を油断させ、ここぞというときに一気に投稿することで」は、有名な「始めは処女の如く、後は脱兎の如し」の一文です。
最後に
今回は「九地篇」について翻訳してみました。
「九変篇」で述べましたが「九」には「さまざまな」「すべて」という意味があります。
「地」を小説に置き換えると構成「テンプレート」にあたるでしょうか。
いずれにしても、本篇は「上級の書き手」が押さえておきたいポイントです。
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