356.不調篇:明日は頼りにならない
今回は「執筆できないのなら、下調べやプロット書きを三日ぶんしましょう」というお話です。
皆様もご存知のとおり「小説を書く」には相当な集中力が要ります。
だから体調が悪くて書けない日も出てくるのです。
ストックを持っていればそれでやり過ごせますが、そんなに大量のストックを抱えても後日の反響次第でストックを修正せざるをえなくなります。
であれば明日ストックを作るとして、そのための下調べやプロット書きを三日ぶんやっておくのがよいのです。
明日は頼りにならない
やる気が湧かない、この分野は苦手だ、頭痛がヒドい、だから執筆作業が捗らない。
そういうときは誰にでもあります。
このとき、たいていの人は「明日やろう」と考えます。
ですが「明日」になればきちんとやれるものでしょうか。
明日に改善できる可能性はかぎりなく低い
たしかに「今日がダメだから明日にまわそう」と考えれば、今のあなたは肩の荷が下ります。
しかし本日やるはずだった執筆作業を明日引き受けるのは、他でもないあなた自身です。
「頭痛がヒドい」に関しては明日までに体調が戻るのであればさほど悪い選択には見えませんよね。
ですが、明日にまわしたせいで、明日の執筆量は今日の二倍です。
たとえ快復していたとしても、二倍の量をこなせるものでしょうか。
まず無理だと思います。
また「やる気が湧かない」「この分野は苦手だ」に関しては、明日になればやる気が湧くものでしょうか、苦手が克服できるものでしょうか。
こちらもまず無理ですよね。
明日になったらやればいい。
そう考えてしまった途端に連載は途切れてしまいます。
では体調が悪い中で執筆作業を強行して、連載を続ければよいのでしょうか。
その状態でもできることを三日ぶんやる
「頭痛がヒドい」状態でもできることはあるはずです。
今日と明日と明後日の作業を洗い出してみて、今の状態でもできることを三日ぶん処理しましょう。
明日体調がよくなれば、昨日はできなかった執筆も二日ぶんできることでしょう。
そうすることで二日間の執筆作業は完遂するのです。
しかし負担の重い執筆作業を二日ぶんこなすとなれば、その翌日に必ず反動がやってきます。
つまり一日目の「頭痛がヒドい」状態でもできる下調べやプロット書きなどの軽い作業を三日ぶん終わらせて、二日目に頭痛が治って負担の重い執筆を二日ぶんこなすと、三日目にその反動がやってくるということです。
もし下調べやプロット書きなどの軽い作業を二日ぶんやると決めてしまったら、また一日目の状態に後戻りしてしまいますよね。
「負のスパイラル」と言ってよいでしょう。
その状態でもできることを三日ぶんやることで、二日目に負担の重い執筆を二本こなしても、三日目の執筆は一日目に頑張ったぶんだけ執筆作業が軽減されます。
つまり三日目にも快復する余力を残すことができるのです。
明日に期待してもムダ
「今日はダメだから明日にやろう」と全部投げてしまうと、明日には二倍の執筆作業量が待ち構えてしまいます。
「自分で自分の首を絞める」わけです。
であれば今日できる下調べやプロット書きなどの軽い作業をできるかぎりこなしましょう。
いきなり快調になったりスキルアップしたりすることはありません。
「明日に期待してもムダ」なのです。
だから今日でもできることは、今日取り組みましょう。
同時に複数の依頼を抱えてしまったら
同時に複数の依頼を抱えてしまうこともあります。
とくにランキングに載る書き手の方は、さまざまな方面から執筆依頼が来るものです。
また開催されている「小説賞・新人賞」に応募するための原稿を、連載と同時進行で執筆する機会も出てくるでしょう。
どちらを優先すべきか。
現在連載していて慣れているほうは、どれくらいの時間で終わるか見通しが立ちますよね。
新たな依頼や「小説賞・新人賞」への応募といった不慣れなほうは、どれだけ時間がかかるか手をつけてみるまでわかりません。
だったら慣れている連載を優先し、残り時間で見通しがきかず慣れていない「小説賞・新人賞」向けの小説を執筆していけばよいのです。
判断する回数と時間を減らす
執筆は流れに沿って行なうのが通常です。
しかしなにかを決めなければならなくなるときが必ずやってきます。
「なにかを決める」つまり「判断する」ことが必要になるのです。
たとえば「今年の小説賞・新人賞に応募すべきかどうか」と悩んでいるとします。
こう思うのはたいてい連載に余裕がある中級以上の書き手です。
「今年の小説賞・新人賞に応募すべきかどうか」はあなたの腕前でこなせるものでしょうか。
そぐわないのであれば、今年の小説賞・新人賞はすっぱりとあきらめます。
もし難しくても挑戦したいのなら。
あなたが最も書きやすい分野で勝負してください。
あなたが設定したミッションは「今年の小説賞・新人賞に応募するかどうか」であって、「それにふさわしい未知の分野で可能性を探る」ことではありません。
そうであれば、なにも迷うことなく毎年応募している分野に決めてもまったく問題ないのです。
「異世界転生ファンタジー」が得意なら「異世界転生ファンタジー」を書きましょう。
そうです。判断が求められることが想定されていれば、あらかじめ解答の基準を作っておけばいい。
「想定問答集」ですね。
そうすることで「判断する回数」を減らせますし「判断に要する時間」も削れます。
「判断に要する時間」があれば小説の一節くらい、わけなく書けるはずです。
また日頃から二作品を同時進行するためのスケジュールを組んで、連載をしてみましょう。
もし同時進行できるのであれば、「小説賞・新人賞」にトライしてもいいと思います。
今連載している作品を「小説賞・新人賞」に応募できるような募集要項であれば、そのまま応募するだけなので絶好のチャンスです。
時間とお金で迷ったら
小説を書くためには時間が必要です。
そして執筆時間を確保するためには勤務時間を減らすしかありません。
そうなると給料つまり入ってくるお金が減ります。
時間をとるかお金をとるか。
答えは簡単です。
可能なかぎり執筆時間を選びましょう。
お金は一時的に減っても、後日多めに働けば取り戻すこともできます。
しかし時間は一度失ったら二度と取り戻せません。
だからいわば「お金で執筆時間を買う」わけです。
であればできるだけ価値の高い時間を買いたいですね。
「プロの書き手」を目指している方なら、頭の冴えている午前中の時間を買うのがよいでしょう。
趣味で書いている方なら残業せずに家に帰ることも考えておきましょう。
最後に
今回は「明日は頼りにならない」ことについて述べてみました。
「気が乗らない」から明日執筆すればいいや。
この考えではいつまで経っても連載ペースをキープすることはできません。
連載は開始前に一週間ぶんのストックを持っておくべきです。
そのうえで読み手の反響を考え合わせて、全体の流れを投稿前に書き換えていきます。
そうすればストックもムダにはなりません。
また判断を要することは前もって基準を設けておくべきです。
そうすれば判断に迷うことがなくなり、「小説を執筆する」という貴重な時間を確保できます。
時間をお金で買うことも必要です。
小説を書くという行為は「お金で執筆時間を買っている」と思ってください。
そう考えると執筆時間を浪費することもなくなります。
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