351.不調篇:優先順位を確認する
今回は「優先順位」についてです。
あなたにとって「小説を書く」ことはどれほどの優先順位を持っているのでしょうか。
優先順位を確認する
あなたにとって「小説を書く」ことはどれほどの優先順位がありますか。
「手の空いた時間に細々と書くだけでいい」というくらい優先順位が低い人もいるのです。
小説投稿サイトへ不定期に小説を投稿しているくらいの優先順位の人もいます。
仕事や勉強に疲れたら、息抜きで小説を書いて小説投稿サイトへアップロードして反応を楽しみたい人もいるでしょう。
中には仕事や勉学などいかなる退路も断ち、全力で「商業デビュー」を目指している方もおられます。
ここまでくるとどんなものよりも「小説を書く」ことが優先順位の頂点に位置しているはずです。
あなたにとって「小説を書く」ことはどれほどの優先順位を持っているのでしょうか。
緊急度と重要度
「仕事のこなし方」の類いのビジネス書を読むと、たいてい「案件の緊急度と重要度を仕分けし、緊急度と重要度がともに高いものから処理する」ことが書かれています。
最近とくに目にするビジネス書では「PDCAサイクル」に言及しているものが多いのです。
これは「Plan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(評価)⇒Action(改善)のサイクル」を回して仕事の効率化を図ることを意味しています。
最初のPlanを立てるときに用いるのが「案件の緊急度と重要度の仕分け」です。
一見すると「緊急度と重要度がともに高いものから処理する」と決めれば最大の成果を挙げられそうですよね。
でも実は最大の成果は挙げられません。
なぜなら、仕事には割り込みの案件が発生することが付きものだからです。
資本主義社会に住む人間が生きていくためには、仕事をして「対価を得る」必要があります。
つまり「お金」ですね。
仕事の息抜きとして小説を書く人は、仕事で「割り込み案件」が発生したら、案件が完了するまで執筆時間が削られてしまいます。
それだけならまだしも、段々と優先順位の高い仕事を処理しきれなくなって、残業時間だけが増えていくことを余儀なくされるのです。
こうなってしまうと、もう「小説を書いている暇」がありません。
しかし仕事で「お金」を得ないと生活できませんから、「小説を書きたいのに書いている時間がない」という苦境に追い込まれてしまいます。
時間あたりの効率で優先順位を決める
緊急度と重要度で仕事をしていたら、まず小説は書けなくなります。
時間がなくなるのです。
ではどんな順序で仕事をこなせばいいのでしょうか。
「時間あたりの効率」の順序です。
人間にとって時間は限られています。
限られた時間を有効活用して仕事と執筆の両立をしなければなりません。
仕事や執筆をこなすのにどのくらいの時間がかかるのか。
あらかじめわかっていれば「時間あたりの効率」が数値化されます。
ご自身の時間感覚をあてにせず、必ずストップウォッチを使って「この作業に取りかかる準備から、終えて片づけるまでにどれだけ時間がかかっているのか」を客観的に把握してください。
もしいろいろと「割り込み案件」が発生するような状況で仕事をしていたとしたら、「割り込み案件」が発生するたびにどんどん時間が浪費されてしまいます。
たとえば満員電車の座席に座ってノートPCで重要な仕事をしていたとします。
停車駅での人の乗降や加減速やカーブなどの不安定な状況なので、その都度手が止まるはずです。
置かれている状況の中でいちばん「時間あたりの効率」が高まることはなんなのか。
それを考えましょう。
満員電車で仕事をこなしたければ、メールチェックやなにかひらめいたときのメモ書き程度の単純作業だけにしましょう。
企画書を書くなんてもってのほかです。
午前中は脳が疲れていませんから、集中力を要する案件を処理するのに向いています。
緊急度も重要度も高くないけれども集中力を要する案件を、脳が疲れている夕方に行なおうとするから、処理しきれず残業になってしまうのです。
昼食後は栄養吸収のために集中力が削がれますから、体を動かす仕事をするのに向いています。
夕方になれば集中力がほとんどなくなるので、会議など費やす時間が確定している仕事や作業が固定化されているルーチンワークをするべきです。
もし「明日外回りの仕事がある」とわかっていながら、前日に日々のルーチンワークをこなすだけだとどうなるでしょうか。
外回りの仕事をしているときに「あっ、この資料を用意していなかった」と気づいたときはもう手遅れです。
資料を揃えて再度訪問するだけでもかなりの時間を浪費したことになります。
それに引き換え、ルーチンワークはそれほど「時間あたりの効率」が高くありません。
であれば翌日かなりの時間を浪費しないためにも、前日は必要になる資料集めを優先させてください。
体調によっても「時間あたりの効率」は変わります。
インフルエンザに罹っていて頭が朦朧としているときに集中力を要する仕事をしてはなりません。
二日酔いで頭がガンガン言っているときも似たようなものです。
毎日残業をしていたり徹夜をしていたりしても「時間あたりの効率」はぐんと下がります。
仕事はできるだけ残業も徹夜もせず、体調が良い状態をキープし続けてください。
そのほうが仕事の効率ははるかに高まります。
処理能力以上の仕事を抱えない
仕事に対してまず求められるのは「自身の処理能力以上の仕事を抱えない」ことです。
超えていたら確実に残業が発生します。
自分で「この仕事は一時間で終わる」「この会議は二時間かかる」といったように「時間あたりの効率」をいくら図ろうとも、「自身の処理能力以上の仕事を抱えて」しまうと優先順位なんていともたやすく崩れ去ります。
だから上司と相談して「私はこの仕事を一時間でできますが、あの仕事とその仕事には三時間必要です。すべて足すと七時間となり、これ以上仕事を増やすことはできません」と明言すべきです。
それで「なら残業しろよ」と言われたら、その会社と上司は「ブラック」に認定してかまいません。
潔く転職することをオススメします。
誰かに仕事を回せる立場(役職)の方は、超えている仕事を部下や取引先にあずけてください。
それだけで「自身の処理能力以上の仕事を抱えず」に済みます。
もし仕事を追加で頼まれたら、それを処理できるだけ時間に余裕があるときだけ引き受けましょう。
できればスケジュールに「割り込み案件」用の時間を組み込んでおくべきです。
たとえ断ったとしても理由さえきちんと説明しておけば、頼んできた人に嫌われることはありません。
小説でも処理能力を超えて複数の連載を抱えないほうがよいでしょう。
複数の連載をしたいのなら、あらゆる面で「時間あたりの効率」を追求していきます。
仕事の細分化と一本化
たとえば取引先とメールでやりとりしているとしましょう。
そのとき緊急な用件の可能性もありますから、メールソフトをつねに立ち上げているはずです。
もし緊急な用件であれば対応する必要があります。
今手がけている仕事が終わってからでもいいと判断したら、それを終えてから返信しましょう。
どうしてもという「緊急事態」のときだけ即座に相手に返信してください。
とくに緊急性がなければ返事は他の取引先と同じ時間まで後回しにしてください。
メール作業は、基本的に相手が伝えてきたメールを読んで、対応した文章で返しますよね。
もし取引先が一社だけなら即座に対応してもいいでしょう。
ですが十社もあったらどうでしょうか。
メールが送られてくるたび、すべて即座に返信していては、間違いなくあなたが抱えている仕事が滞ります。
だから緊急性がないのであればメールの返信はまとめて行なったほうが効率的です。
日々のルーチンワークもすべて細分化して一本化していきましょう。
毎日頻繁にコピー機を使うのであれば、コピー機を扱う時間を一本化してしまうべきです。
コピー機で複写する前までの段階でとどめておいて問題ありません。
すべてコピーし終えたら、それぞれの作業を再開すればいいのです。
また現在の職場ではPC入力が当たり前で、手書きで処理しなければならない書類は少なくなりました。
そうであれば、手書きする作業を集めて一本化するのです。
PC入力しつつ手書き作業をするのは正直に言って時間のムダです。
作業と作業の間にあるスキマ時間を利用してメールの返信をしたりコピーをとったりすればいいのです。
それだけでよほど効率的に仕事ができるようになります。
仕事が効率的に行なえれば、「小説を書く」時間も捻出できるようになるのです。
小説では辞書を開く作業を執筆時間の後ろに持ってきましょう。
とにかく「高速ライティング」で表現を気にせず書きやすいように書くのです。
そして推敲の段階になったらまとめて辞書を引きます。
書いている途中でいちいち辞書を開くのは時間の浪費です。
調べることはわかってるのですから、「高速ライティング」中に不安を覚えたら問題の箇所に特定の記号を付けておきます。
たとえば「※」や「【 】」など小説で用いない記号がよいでしょう。
「高速ライティング」を終えてから不明なところや類語に置き換えたいときなどは「最初の推敲」の段階にひとまとめで引いてしまいましょう。
これで「時間あたりの効率」がぐんと高まります。
最後に
今回は「優先順位を確認する」ことについて述べてみました。
あなたはどれくらいの優先順位で小説を書くつもりですか。
退路を断った方もいるでしょうし、暇ができたときに書きためていけばいいやという方もいるでしょう。
優先順位を守って行動すれば、確実に小説を連載することができます。
優先順位をつけないことには、「小説を書く」時間は捻出できません。
できれば定時出社・定時退社を徹底して「小説を書く」時間を作りましょう。
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