140.応用篇:読み手の反応が創作の糧

 今回は「読み手の反応」が書き手に与える影響についてのお話です。

 反応があると嬉しいんですよね。それがたとえ批判であっても。





読み手の反応が創作の糧


 小説投稿サイトに作品を上げていると、閲覧されて評価されてブックマークされて、ランキングに載るようになります。

 そして時たま「読み手からコメント」が付くことがあるのです。





閲覧数

 閲覧数が上がれば「注目されているんだな」と判断できます。

 もし閲覧数が上がらなければどうすればいいのでしょうか。

 まず「キーワード」「タグ」を工夫してください。

 小説投稿サイトでは新着欄に掲載されている時間がそれほど長くありません。

 あなたが読み手だとして、新着欄でチェックするのは十ページもないでしょう。

 これは『Google検索』においてリストアップの三ページ目くらいまでしか目を通さないのと同様です。

 仮に十ページをチェックするとします。


 投稿の絶対数が少ない『ピクシブ文芸』であれば十ページあれば平日なら一日中、土日なら半日程度新着欄の十ページに載り続けられます。


 これが最大手の『小説家になろう』ではジャンルによりますがものの数時間で流されてしまうのです。

 つまりそれ以外の時間で小説を読んでもらおうと思えば、読み手が「読みたいな」と感じている「キーワード」「タグ」を付けておかなければ、そもそも読み手に小説のアピールすらできません。

 だからまず「キーワード」「タグ」を読み手が「読みたいな」と感じるものにしましょう。

 他の書き手がどのような「キーワード」「タグ」を用いているのかをよく観察するのです。

 自分の小説にも使える「キーワード」「タグ」が見つかれば、それを付け加えておくと少なくとも読み手の視界に自分の作品を映すことができます。



 「キーワード」「タグ」は流行りをしっかり押さえてあるのだけど、まだ閲覧数が増えてこないときはどうすればよいでしょうか。

 「タイトル」や「シリーズ名」を工夫してください。

 今どき流行りのタイトルは「主人公の置かれている状況がひと目でわかる」ものです。

 これも他の書き手が投稿した小説のタイトルやシリーズ名を観察しましょう。

 私はこの点がうまくできなくて、どうしても短いタイトルになってしまうのです。

 結果はやはり閲覧数が伸びませんね。

 「キーワード」「タグ」をうまく押さえてあっても、「タイトル」や「シリーズ名」で注意を惹けなければそもそも読み手が読もうとは思わないものです。



 「タイトル」や「シリーズ名」もしっかり流行りに乗っている。

 なのにまだ閲覧数が増えてこない。

 その場合は「あらすじ」「紹介文」「キャプション」が弱いのですね。

 どれだけ「キーワード」「タグ」をきちんと付けて「タイトル」や「シリーズ名」を工夫していても、読み手が読みたくなるような「あらすじ」「紹介文」「キャプション」が書けないとその小説を読もうとは思いません。

 「あらすじ」「紹介文」「キャプション」で読み手を煽れるだけ煽る必要があります。



 「こういう小説が読みたかったんだ」「こんな小説なら読んでみてもいいな」。

 そう思ってもらえるような「あらすじ」「紹介文」「キャプション」です。

 だから「あらすじ」「紹介文」「キャプション」は小説本文よりもさらに洗練された文章で書かなければなりません。

 「あらすじや紹介文やキャプションなんて本文のダイジェストでいいんでしょ」程度では読み手の興味は惹けないと思ってください。





評価

 評価には描写力と物語性の二面があります。

 最大手の『小説家になろう』では「文法・文章評価」「物語ストーリー評価」を付けられるのはご存知でしょう。(すでに統合されました)。

 うち「文法・文章評価」の描写力が高ければ「伝えたいことが正確に伝わっているんだな」と判断できますし、「物語ストーリー評価」の物語性が高ければ「興味のあるお話なのだな」と感じることでしょう。

 その点『pixiv小説』『ピクシブ文芸』はいいねだけに統一されたため、どちらかがよかったのか判別できません。

 ただし『pixiv小説』は二次創作がランキングを席巻しているため、物語性が占める割合は相当高いと思います。

 ランキングに載っている二次創作でも、文章の書き方や表記の揺れなどが目立つ小説をかなり見かけるのです。

 だから『pixiv小説』の二次創作なら物語性の勝負だと思っていいでしょう。


 オリジナル小説(一次創作)オンリーの(はずの)『ピクシブ文芸』でも同様の傾向があるようで、文章の書き方や表記の揺れがあっても上位にくる作品が多いのです。

 そもそも投稿の絶対数が少ないため、『小説家になろう』で人気が出なかった小説でも今なら『ピクシブ文芸』でランキング上位になれます。

 その点でも『ピクシブ文芸』は物語性だけで勝負している感が否めません。


 『エブリスタ』は『pixiv小説』『ピクシブ文芸』と同様女性利用者が多いので、評価である「スター」は昔の『pixiv小説』の10段階評価やインターネット通信販売Webサイト『amazon』の5段階評価に近いものがあります。スターを付ける人が描写力重視なのか物語性重視なのかはわかりません。ですので「作品の面白さ・楽しさ」を総合評価していると見ていいでしょう。





ブックマーク

 ブックマークされれば「このエピソードは面白い・楽しいと思ってもらえたんだな」と判断できるでしょう。

 評価とかぶる部分がありますね。評価と違い、ブックマークをしておけば好きなとき好きなタイミングでその小説を繰り返し読むことができます。

 その小説を好きになってくれた証明です。


 「ブックマークするくらいその小説が好き」な人物が多いということは「紙の書籍化」されやすいということでもあります。

 もちろん『pixiv小説』や『カクヨム』での二次創作はどんなにブックマークが付いても「紙の書籍化」はされません。

 著作権に触れるようなリスクをわざわざ出版社が冒すでしょうか。

 ちょっと躊躇しますよね。

 二次創作はあくまでもフォロワー集めに利用するだけにして、本命のオリジナル小説(一次創作)をどれだけの人に読んでもらえるのか。

 その戦略が小説投稿サイトを利用する書き手に求められます。





ランキングに載る

 『小説家になろう』では評価の「文法・文章評価」と「物語(ストーリー)評価」の加点にブックマーク数の二倍を加えてランキングの集計ポイントとなります。(建前ではそういうことになっています)(すでに評価はひとつに統一されています)。

 ですので『小説家になろう』を利用しはじめたときはこの集計ポイントをどれだけ上げられるかをひとつの基準として投稿していきましょう。

 書き手として自分は読み手側からどのような作品を求められているのか。

 それを知る手がかりにもなるはずです。

 『小説家になろう』は集計ポイントの計算がとても簡単なので、自分の書く作品の中でどの作品が最も支持されているのかがすぐにわかります。




読み手からコメントをもらう

 さらに「読み手からコメントをもらう」こともあります。

 たいていは「よい作品でした」「物語に感動しました」といった肯定的なコメントです。

 しかし批判のコメントが付けられることもあります。


 でも腐らないでください。

 「批判のコメントを書き込んでくれるくらい、自分の小説を真剣に読んでくれた人たち」の現れだからです。


 批判的なコメントというのは「書き手に見込みがある」と思っているから書き込んできます。

 「こんな小説では評価するにも当たらないし、コメントをしたところでそれほど良くはならないだろう」と思えば、読み手がわざわざコメントを書いてくれることなどありません。

 だから批判的なコメントは「書き手に見込みがある」から付くのです。

 コメントの内容を前向きにとらえて言われた点を修正していきましょう。

 そうすれば批判的なコメントをしてきた人たちが手のひら返しすることもあるのです。

 今度は一転して肯定的なコメントをくれるようになります。

 批判的なコメントは潜在的なフォロワーさんなのです。

 彼らの希望に沿ってあげればフォロワーさんに転じてくれます。





最後に

 今回は「読み手の反応が創作の糧」ということについて述べてみました。

 小説投稿サイトに小説を上げると反応が気になるところです。


 どのくらい閲覧してくれたのだろう。

 どのくらい評価してくれたのだろう。

 どのくらいブックマークをしてくれたのだろう。

 どのくらい反響のコメントが付くのだろう。

 これらの点になります。


 小説投稿サイトで最もつらいのは「読み手から何の反応も得られない」ことです。

 批判的なコメントすらありがたい。

 「無視されるより嫌われるほうがまだまし」というのは人生においても通じる点ではないでしょうか。



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