第54話 神社

        16

 神社でのゴミ拾いは、コウくんに出会った日から、いつか必ずやろうと思っていた。

 もちろんゴミ拾いだけが目的じゃなくて、参詣さんけいの方がメインね。

 あの日わたしが神様に伝えたかったことは二つ。

 一つ目は黒猫ちゃんとコウくんに出会わせてくれたことへの感謝の気持ち。

 そして二つ目は謝罪だ。

 自分の人生を一度は諦め、愚かにも自尽じじんという道を選ぼうとしたことに対する謝罪。

 わたしは特に信心深いわけではないけれど、大抵の人がそうであるように、自分にとって都合の良いとき、もしくは悪いときに神様の存在を信じることがある。

 いざというときに神頼みをしたり、何か嫌なことがあると、つい、神様のせいにしたりすることは誰にでもあるだろう。

 世の中にある様々な宗教において、自殺というのは大罪に当たる。らしい。

 だとすると神様は、もう少しで罪を犯すところだったわたしを怒っているかもしれない…。

 だから、もうそんなつもりはないということをちゃんと伝えたいと思った。

 そしてそれを、ただ謝るだけではなく、何か行動で示したいと思った。

 それで思いついたのが神社の周辺と境内の清掃活動だった。

 ただの自己満足にしかならないことは分かっていた。…けど、結果、やって良かったと思っている。

 自分の中で“けじめ”をつけられた気がするし、何より、やってて楽しかった。気持ち良かった。

 付き合わせちゃったコウくんには悪いことをしたけど、彼も意外と楽しんでくれたみたいだったので嬉しかった。

 あのとき社務所でもらったお菓子は、今まで食べたどんな御馳走(と言うほど御馳走を食べているわけではない)よりも美味しく感じられたなぁ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます