第22話 空想の友人

【由香子】

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 家に帰ってから、まず今日の戦利品を確認した。

 中にはいくつか「こんなの買ったっけ?」ってのがある。

 毎度のことだけどなんでだろ。…不思議。

 お店で見るのと家で見るのとでは違うのかもしれない。

 とにかく、

 型崩れし易そうなものはクローゼットに入れて、大丈夫そうなものは洗濯機へ。

 一通り片づいたのでノートパソコンを開いてネットに繋いだ。

 ニュースサイトの最新トピックや、好きな歌手のホームページとブログをチェック。新曲のリリースはまだ先ということを知った。

 最近はガラケーでは表示できないサイトがほとんどだ。

 それを不便だと思わないと言えば嘘になる。

 でも、もともと調べものをするときはPC使ってたから、そこまで問題ナッシング。

 ウチ的には大した支障はない。

 しばらくネットサーフィンをした後、なんとなくの思いつきで、今日浩一たちが見た映画を検索してみた。

 公式サイトやファンの個人ブログ、考察サイトなど、様々なサイトがヒットした。

 そのいくつかを適当に巡っていると、こんな考察をしているサイトがあった。


『実は主人公の恋人は「イマジナリーフレンド」なのではないか?』


 そのサイトによると、今公開中の新作を含めたこれまでの作品の中で、恋人が“主人公のいないときに誰かと絡むシーンが一切ない”のだとか。

 そして主人公と恋人の二人だけのシーンと、そこに第三者が絡むシーンとでは、後者には明らかに不自然なところがあるらしい。

 なるほど。

 これはなかなか面白い説ね。


 てか、「イマジナリーフレンド」って何。


 早速(むしろ今更)調べてみたので、わかったことを簡単にまとめてみよう。


・まず「イマジナリー」という単語の意味は「実在しない」とか「架空の」ということらしい。そこに「フレンド」が合わさって、直訳すると「空想の友人」。

 意味も大体そのままのようだ。


・心理学や精神医学における現象の一つで、空想した「架空の人格」を友人として認識している状態のこと。基本的には空想した本人にしか知覚できない。


・略称はIF《アイエフ》。


・「フレンド」とは言っても、必ずしも「友人」というわけではなく、相手を「恋人」として認識している例もあるらしい。


・空想の中での会話はもちろんのこと、何かを一緒に行うことも可能。


・自分で生み出した人格だから、本人にとって都合のいい存在である場合が多い。


・多くは幼少期に知覚するようになり、大人になる前には消失してしまう。ただ、稀に消えないケースがある。


・大人になってから知覚するようになる場合、きっかけは「過去のトラウマ」や「交通事故で受けたショック」のような精神的なものが関係していることが多い。


 大体こんな感じだと思う。

 ざっと読んだだけだから、もし違ってるところがあったらごめんなさい。

 調べているうちにウチはイマジナリーフレンドという存在に興味が湧いていた。

 こんな言い方をしたら語弊があるかもしれないけど、面白いと思った。

 だから、

「もう少し詳しく知りたいなぁ」

 ネットでの情報収集はこのまま続けるとして、それとは別に、誰かに聞いてみるのもいいかもしれない。

 となると、ミズ。かな。

 ああ見えて意外と博識なところがあるから、何か知っているかもしれない。

 とりあえず駄目元でミズに(まだ仕事中かもしれないので)メールを送った。

 浩一にも聞いてみよう。

 そう思ったとき、ふと、ある考えが頭をよぎった。

 …

 ……

 ………

 んなわけないか。

 あはは。

 今日会えなかったのはたまたまタイミングが悪かっただけ。

 少し不自然なくらいに会えなかったと思うのはウチの気のせい。


 浩一のお相手の女の子が本当はイマジナリーフレンドだったなんてことは、さすがにないよね―――。

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