第19話 映画館3

【浩一】


「お待たせ…」

「コウくん、おっそーい!」

「ごめん。自覚してる」

「ほんとだよぅ。飲み物買いに行っただけじゃなかったのー?」

「少し離れたところの自販機に行ってたんだ」

「んー?」

「この辺でこれが売ってるの、そこだけなんだよ」

 僕は中身が半分ほど減っている炭酸飲料の缶を見せた。薬品のような独特の風味が病みつきになる、あの飲料だ。

「なるほど。でも…それにしたって遅いよぅ」

「悪かったってば。道中色々あったんだよ」

「…色々って?」

「い、色々は色々だよ。そんな大したことじゃないし別にいいじゃないか」

「ふーん。ちょっと気になるけど…。まっ、いっか」

 黛麻友はさして興味もないようだ。

「それよりコウくん。わたし、お腹空いちゃったよ」

 僕だってぺこぺこだ。

「じゃあ、とりあえず何か食べようか」

「さんせーい」

「何か食べたいものは?」

「えっとね…」

 黛麻友は少し考える素振りを見せた後、満面の笑みで言った。

「ポップコーン以外かなっ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます