6日目『散り逝く者』

 月明かりがふと遮られて、目を開けた。

 窓の外では、桜の花がゆっくりと散っている。日に日に消えていく私の記憶と、同じね。

 こんな私の世話で、家族に負担をかけるのは辛いの。それに、もう十分生きたわ。

 だから、謝らないで。

「……ありがとう」

 悲しそうに歪んだ顔に、感謝を込めて呟いた。

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