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 ぷはー。


 やっぱり、この世界の酒は美味しい。


 そんな俺の緩み切った感想とは裏腹に、ヘッドは真剣な表情になっていた。


「実は、シュウに伝えなきゃならないことがある」


「……なんですか?」


 ヘッドの言葉に、なぜか嫌な予感がした。




「タルサ、負けちまったぞ」




 ……。


「マ、マジっすか!?」


 俺が思わず振り返ると――決勝の舞台であるテーブルに、タルサが突っ伏していた。先ほどの堂々とした様子から一転して、タルサは小刻みに震えて白目を向いている。


「タ、タルサぁあああああああっ!?」


 俺が叫ぶ横で、ヘッドが爆笑していた。


 ――ま、まさか!


「や、やりやがったな!?」


「俺は何もしてねぇぜ? ごちそうさん!!」


 ……な、なんてことだ。


 俺は無意識のうちに、ヘッドの言葉を信じてしまったらしい。


 まったくもって厄介な力だと思いながらも、俺はタルサに駆け寄る。


「タルサ! 大丈夫か!?」


「……わ、妾はもう、駄目じゃ」


 がくりと首を垂らすタルサの雄姿に、思わず涙が浮かぶ。


「タルサぁあああああああああああああああっっっ!!」


 タルサの顔を見ながら思う。


 まったく、この異世界って奴は、予想外の連続だ。


 俺の苦労は、まだまだ続いていくらしい。




      おわり



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異世界で俺は神になる! 星浦 翼 @Hosiura

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