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「俺たちの目標は〝現世に生き返ること〟だ。でも、俺はそれよりも価値のあるものに、この異世界で出会っちまってる。俺にとってそれは、それを失っちまうぐらいなら、生き返る必要なんてないと思えるぐらいなんだぜ?」
俺は改めてタルサを見つめる。
「俺は、それぐらい、本気の本気で――タルサの笑顔が、好きなんだよっ!!」
タルサの頬に赤みが差し、惚けた様に俺を見つめ返している。
そこにいるのは、いつもの傲慢な女神様ではなかった。
そこにいる人は、俺にとって、一番大切な――
「この国の民を生贄にしたら、タルサは絶対に後悔するだろ? 優しいタルサは、絶対に心を痛めるだろ? なら、俺はタルサの笑顔が曇るような真似は、絶対にさせない。タルサは、俺には不可能を可能にする力があるって言ってたじゃねぇか? なら、俺のために協力してくれよ! 俺はタルサを助けた時みたいに、全てを手に入れる! 無理を押し通してやる! だから、そのための力を、俺に貸してくれ!」
俺の言葉に、タルサはどう思ったのだろうか?
タルサの顔には、
「くくくくくくく」
満面の笑みが広がっていた。
「お主様は、本当に面白い。お主様は――悠久の魔女も、この国の民も両方救うことで、妾を救おうというのか!? そんな方法が、この世に存在するというのか!? そんな戯言を――本気で実現しようというのか!?」
「そうだ!」
俺の答えに、タルサはさらに笑った。
「くくくくくくくくくくくく!」
涙を拭い、俺をまっすぐに見つめ返してくる。
「それでこそ、妾が愛するに値する男じゃ!」
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