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「……どういうことよ?」


 アリシアの問いに、タルサは笑う。


「ミーナ殿はお屋敷に籠っておることが多かった故に、民との距離が遠いのじゃ。ここで話し合っても正解など出ぬし――直接視察すれば良かろう?」


 ミーナさんとアリシアが顔を見合わせた。


「アリシア殿の厳選した移民を、ミーナ殿が見定めよ。それでも断るのであれば仕方ない。アリシア殿には、ミーナ殿を説得する機会をくれてやろう。それで手を打って下さらんか?」


「……仕方ないわね」


 アリシアはタルサの言葉にうなずき、ミーナさんを指さす。


「絶対に説得してやるんだから、覚悟してなさい!」


 高笑いするアリシアをよそに、タルサが俺の傍にいそいそと近づいてくる。


 その顔に張り付いた笑みを見て、嫌な予感がした。


「残念じゃが、アリシア殿とミーナ殿は分かり合えぬ」


「え?」


 そんなことは、まだ分からないハズだ。


 小声で告げられたタルサの言葉に驚きながらも、俺は反論してみる。


「本物の移民を見たら、ミーナさんだって心変わりするかも知れないだろ?」


 まだ出会ってから一か月しか経っていないけれど、ミーナさんは優しい心の持ち主だと思う。


 しかし、俺の問いにタルサはかぶりをふった。


「そもそも、お主様たちとミーナ殿は前提条件が違うのじゃ」


「前提条件?」


 うまく意味が掴めないが、タルサには確信があるらしい。


「そこで、お主様に頼みがある」


 先ほど感じた嫌な予感は現実になろうとしていた。


 タルサが不敵に笑いながら、俺を上目遣いで見つめている。


「お主様も一緒に視察して、お二人の橋渡しをしてくだされ」


 マジかよ?


「でも、本当に分かり合えないなら、答えは出ないんじゃないか?」


 俺の懸念を、タルサは笑い飛ばす。


「妾たちは同じ志の元、このエターナルのために動くと誓った仲間じゃぞ? つまり、妾たちの持つ権限は全く同じと考えてよい。ならば、答えを決める方法は多数決で良かろう」


 タルサが言いたいことが、ようやく分かった。


「お主様の素直な感想で、移民を受け入れるか否かを判断するが良い」

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