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「な、なんですって!?」
アリシアが改めてタルサを睨みつけるが、
「良いか?」
タルサは笑顔でそれを受け流して続ける。
「この場におる者に、妾たちにとって最も大切なことを伝えるのじゃが――悠久の魔女殿は、もうこの世にはおらぬ。これからは妾たちが考え行動し、この国のために舵を切る必要がある」
タルサは全員を見渡し、両手を広げた。
「これから、妾たちでこの国の行く末を決めるが――妾たちは同じ権限を持つ仲間となる。すでに妾たちには〝未来視〟が無く、悠久の魔女殿とは違い、選択を間違えることもあるじゃろう。しかし、妾はその判断を全てお主様たちに任せる」
静かな室内で、全員の視線がタルサに集まっている。
「妾は全てを知ることができる願いを持つ故に、お主たちを監視することは容易いが――この場には悠久の魔女殿を裏切る不届き者は一人もおらぬ。この国を想った行動であれば、妾はどこまでも寛大じゃ。逆に妾が知ることで伝達不備が起こらぬ故――間違った選択をした時の免罪符にもなろう」
タルサは俺を横目に見て、楽しそうに笑う。
「全て、お主様たちの好きなようにやるが良い。しかし、お主様たちの一挙手一投足が、この国の雌雄を決すると肝に銘じよ。妾は悠久の魔女殿のように優しくは無いぞ? この国のために苦しむがいい。だが、今こそが悠久の魔女殿への信仰心を見せる時であり、お主様たちのこの国を想う気持ちこそが――悠久の魔女殿への最大の手向けとなる!」
タルサは開いた腕を組み、ふんぞり返る。
大きな胸が腕に乗って主張していて――まるでタルサの自信の大きさを表しているかの様だ。
その様子に感化されたのか、アリシアが立ち上がり笑みを浮かべた。
「こうしちゃいられないわっ!」
アリシアはつかつかと広間の扉へと歩いて行く。
「……まだ軍事的な決め事があるが、事後報告でも構わぬか?」
「ええ。そちら方面の問題は全てあなたたちに任せましょう」
タルサの問いに、アリシアは笑顔で答える。
「私たち信者の力を――あなたたちに魅せつけてあげるんだから!」
アリシアは笑い声も軽やかに、一人先に屋敷を飛び出していった。
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