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 タルサに聞いてみようかとも思ったが、そんなことは無駄だと気づいた。タルサは絶対に、俺のことを否定しない。俺の価値をタルサは信じてくれていて――だったら、俺はその価値に追いつけるようにならなければならない。


「さて、まず改革が必要なのは、魔力の供給方法の変更じゃ」


 タルサは皆に向けて、改めて口を開いていた。


「現状、エターナルの教会や一般家庭では、悠久の魔女殿へと、連日にわたり祈りを捧げておる。しかし、すでに話した通り、悠久の魔女殿が亡くなったことで対象を失い、魔力の譲渡が途絶えておるのが現状じゃ。魔術を扱える敬虔な信者の中には、魔力を譲渡できていない現状を不審に思う者もおるじゃろうし、大切な資源である魔力を逃し続けるのは得策ではない」


「それについては、すでに教会でも話題になっているわ」


 アリシアが躊躇しながらも口を開く。


「そもそも、私がヘッドの言葉に乗ってここまで様子を見に来たのは、私がそこに疑問を持ったからよ。私は魔力運用が不得意だけれど、教会にも様々な種族の信者がいて――それを気にする魔導士も多かったの。そして、私はそれを確認すべき立場にある。つまり、私が悠久の魔女様に神託を得たとなれば、疑う者はいないでしょうね」


「細かい方針はアリシア殿に任せよう。……教会の者は皆、悠久の魔女殿のことを妄信しておる者が大半じゃし、アリシア殿なら説得も容易じゃろ?」


 タルサの問いに、アリシアは改めて口を開く。


「すでに魔力の供給先は水晶へと切り替えてあるのだけれど――魔力のたまった水晶は、悠久の魔女様のお屋敷に運んだほうが良いかしら? ……あとは新しく空の水晶を買ったり、運ぶための馬車を雇ったりするために、必要な魔力を資金に替えても問題ない?」


 アリシアの小首を傾げる様子に、タルサはニヤリと笑う。


「なかなか積極的ではないか――その調子で頼む。それと一般家庭への魔力回収方法の変更も含めて手配してもらいたいのじゃが、頼めるかの?」


「それは構わないけれど……」


「自信が無いのか?」


「……私の能力不足を嘆いているわけじゃないわ」


 タルサの言葉にかぶりをふりながらも、アリシアは眉根を寄せていた。


「私の主教という立場を使えば、ある程度の改革はできると思う。……でも、それを、あの、本来は悠久の魔女様が決めるべきそれらを――私が決めてしまっても良いのかしら?」


 アリシアの弱気な言葉遣いに、タルサが笑みを浮かべる。


「それは大教会の主教ともあろう者が口にすべき言葉ではなかろう?」


 問いに問いで返され、アリシアはますます困り顔になるが、タルサは笑っていた。


「今まで――悠久の魔女殿の決められた未来に従うのは、さぞかし気が楽じゃったろうなぁ? 伝書鳩でもあるまいし、アリシア殿はその程度しかできぬのか?」

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