俺と異世界

22


 木漏こもれ日のまぶしさに目を開く。


 俺は森の中で横になっているらしい。


 頭の下には柔らかい枕? があり、顔の前には、何やら巨大な2対の半球体が見えた。


 いったいなんだこれは? 


 手を伸ばすと、


「お主様よ?」


 タルサの声が聞こえた。


わらわにも心の準備があるのじゃが?」


 俺の顔を覗き込むタルサの顔は赤く染まっていて、この信じられないほど揉み心地の良い球体の正体は――


「胸を、揉まないでくだされ」


「す、すまねぇええ!!」


 俺は起き上がり、座り込んでいるタルサを見て、ようやく状況を理解する。


 タルサは眠っていた俺を、膝枕ひざまくら介抱かいほうしてくれたらしい。


「助けてくれて、ありがとな」


 俺の言葉に、タルサは首を横に振った。


「お主様は世界を丸ごと創造するという偉業を成したのじゃ。少しぐらい意識が飛ぶのも仕方あるまい。目覚めるまでにもっと時間がかかるかと思うたが、無事で何よりじゃ」


 タルサは胸に触れたことなど気にしないような素振りで話している。


 ……俺、本当に揉んだよな?


「なんじゃ? その手つきは?」


 タルサがジト目で俺を見つめる。


「お主様はもっと奥手の紳士じゃと思っておったのじゃが、妾の思い違いじゃったかのぅ?」


「今のは事故で! 本当にすまねぇ!」


 俺は思わず頭をさげる。


「くくく。冗談じゃ。顔をあげてくだされ」


 俺が視線を戻すと、タルサは真剣な表情に戻っていた。


「お主様には、もっと気にせねばならぬことがある」


「……何が起きたっていうんだ?」


 タルサの表情から察するに、良いニュースではないだろう。


「端的に言えば、お主様が異世界を創造した――という一言ではあるのじゃが、妾たちの状況は絶望的に悪くなっておる。妾たちはすでに、現世に蘇れなくなってしもうた」


「はぁ!? なんで!?」

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