おまけ りゅうじん と しきがみ

 龍神と式神は、浅間が作り出した《森の結界》の中に閉じ込められていた。

 四方八方木々に囲まれたあ空間。しかもその結界の中には、《異界》から顕現した《物怪》がうじゃうじゃといる。


 鬼ごっこの途中で《異界》の亀裂が生じた場所に、トモリが逃げ込んだのが発端だ。運悪く飛び込んだ場所の磁場が悪く、その危機に龍神が思いのほか力を出した結果──浅間によって、一時的に空間を切り分けるという方法によって強行したのだった。


「最悪だ」とフォーアは思った。式神に担がれているので、同じく結界の中に居合わせてしまったのだ。

 アヤカシとは異なる《物怪》の醜悪な声に、恐怖で魂が震えた。


 だが式神と龍神は臆することなく、汚泥と邪気に塗れた《物怪》を斬り伏せていく。そこに一切の躊躇いはなく、淡々と処理をしているようだった。


「主が関わると見境がなくなる癖、少しはなんとかしたらどうだ?」


「……なってない」


「なっている」


「なっていない」


「いいや、なっている」


「なってない!」


「なっている!」


「本当に……早く帰りたい」とフォーアは思ったのだった。

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