第5話 分別

俺は家に着いた。家に着くなり布団へと体を投げ入る。

「みんながみんな俺みたいな攻撃的な能力かと思ってたけど案外そうでもないんだなぁ〜」

…あの足を見せたのはいつ以来だろう…治療してくれた時に医者に見せたのが最後…だったと思う。そして今でも覚えている。医者から言われたあの言葉。「君は能力者だ。今すぐ「鳥籠」に行くことを推奨、いや行きなさい」かなりの剣幕で言ってたなぁ。そして医者に見せてから数日でここへの案内書が来て、それで俺はここに来た。

正直これからどんな風になるのか俺には分からないけど、やるべき事をやるしかないんだと自分に思い込ませる。そうでないと未来の不安に押し潰されてしまいそうだったから。

「輝〜ご飯よ〜早く降りてきなさ〜い」

「おーう今行くー」俺は一度考えるのをやめた。

〜鳥籠内の廃ビル〜

「どうやら侵入は成功したみたいね」

「校内にも鳥籠内にも案外簡単に潜入できるもんだな」

「…でも余りにも簡単に潜入出来すぎじゃないか?細心の注意を払った上で実行したが、わざと入れられた可能性も…」

「ペストはいちいち気にしすぎなんだよ。いいじゃねぇか。どの道潜入しなきゃ始まんねぇんだ」

「しかしユース…」

「一回黙れ二人とも」

「「リーダー…」」

「そう慌てるな、今は様子見だ。慌てて尻尾を出した奴が負けるぞ。」

「しかしそろそろ空き家でも見つけて隠れないと…壁もなければ屋根もないような所では見つかるのも時間の問題…」

「もう手配はしてある。それに関しては安心しろ。

とりあえず今は静かに耐えることだ。」

「ここでずっと待ってればいいってことすか。

それじゃリーダー、待ちきれないすよ。俺は早く暴れてぇんだ!」

「安心しろ。お前さんが暴れるのはそう遠くない未来さ」

〜〜〜〜〜〜〜

翌日

朝が来た。というより、朝が来ていた。

春の柔らかな日差しを浴びて起き上がる。

この言葉が表すことすなわち…遅刻である

「ふぅー」いったん落ち着こう深呼吸だ深呼吸…

「輝〜あんたいつまで寝てんの〜学校遅刻するわよ〜」

…この言葉によって俺は現実の状況を突きつけられる。

ヤバイヤバイヤバイヤバイ遅刻だ〜!

……はぁはぁはぁな…なんとか間に合った…

俺は息を切らしながら教室に入る。

「あ、輝くんおはよー」

「お、おはよう」

「息…きれてるけど大丈夫?」

「ああ大丈夫大丈夫」

赤羽が誰にでも気さくに話しかけてくれるいい奴だ。俺は今まで友達と挨拶などといううらやま…

仲良しこよしな事はしてこなかった。しかし案外というか やっぱり挨拶をし合うというものはいいもんだ。

少なくとも俺は嬉しかった。

内心そんなことを思い、席に着く。

「おっはよー輝くん♪元気なさそうだけどーまぁ朝から騒がしいのもどうかと思うけど…」

「お前が一番騒がしいわ!」

アホみたいなやりとりをしていると、教室前方の引き戸が開く。

「皆さ〜ん、もうすぐ授業ですよ〜」

そう言いながらジャージ姿の先生が入ってくる。

「昨日うっかり時間割のプリントを渡すのを忘れてたので、配っていきますね〜」

前からプリントが配られ、目に入る。目を疑った。

授業がほとんどない…平日の5日間で授業はたったの9回…あまりにも異常すぎる。大学生にでもなったのかと思うほどに。

「やったー遊び放題じゃーん♪やったね」

ハクは相変わらず能天気な声で浮かれている。

周りを見てみるとやはり殆どのクラスメイトは困惑した表情を隠しきれずにいた。江ノ宮が机を叩き口を開く。

「これはどういうことですの!ここは教育機関ですわよね!1日2時間しか授業がないとはどういうことですの?」異議を申し立てる。当たり前だ。

俺たちは高校生であり、学ぶ権利がある。

「これには理由があるんだよ」

…!

何処からともなく校長があらわれる

ガタッ…

一番驚いていたのが扇羽だった。女の子らしい所もあるみたいだ。

「君たちにはこの授業以外にしてもらいたいことがあるんだ」

「してもらいたいことって…?」

江ノ宮が驚きながらも質問する。

「君たちにはたた…」

ドゴーンヒュューボーン

まるで爆撃のような音が聞こえた。校長が窓を見る。「くっ…もう襲ってきたのか…」俺たちは爆音が響く中、察する。

俺たちはとんでもない世界に来たんだということを。









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