女は蛇を飼っている

作者 夢見里 龍

193

70人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

蛇とは?
この疑問の答えは簡単そうに見えてそうではない。
女性=蛇 となってくるとこれは艶かしくも官能的な空想を見てしまう。
象徴的に蛇をとらえると、強靭しなやかな体、毒を含む捕食者、嘘、知恵、総じて悪女の条件を満たしているように感じる。
では、全ての女がその悪女足るのか? これまた難しい問題で、二元論的な解など存在はしない。
重層的な女の本性を感じるには僕などは経験が足りない。
どこか青臭い臭気の立ち込める空間設計。絡み付くような厭らしさ。
神秘のベールに包まれる女の裸体に、男は知らず知らずに蛇を飼い慣らす女を夢想するのかもしれない。
とまあ、レトリックは兎も角も耽美なお話に胸が疼きました。

★★★ Excellent!!!

つまるところ、僕らはその蛇見たさに女性に近づいているのだと。
そんな気付きを与える作品である。
思慮の浅い男にとっては、直接的に性的な部分でもって満足し、頭に蛇の存在が去来することはないだろう。まるでジャンクフードだ。
思慮深い男は性的なものの奥にそれがあるのに気付く。それを見たい欲に駆られる。
段階を問わず、男はそうやって虜になる。

それが蛇のかたちをとるのは、まあそれなりに散見するけれども。

ここにきて秀逸にそれを籠めたものに出逢えるとは、なかなかどうして感慨深い。

年代を越えて、何回も読み返したい。

★★★ Excellent!!!

暑い夏の日。
年下の少年に秘密を見せようとする少女・藤香。
ほんの短い時間だけれど、思春期の二人に流れる時間は濃密で緊張を伴うもので……。

状況や肌の描写などがとても丁寧で、気温や汗ばむ湿気すら感じらるほどの秀逸な文章。
主人公とともに思わず息を飲んで藤香の動きを注視してしまう自分がいました。

「女は蛇を飼っている」というタイトルの意味は深遠で、実際、大学生となった主人公の胸の中で生き続ける、まるで呪いのような言葉。
女性という存在がこれほど的確に表現されているのに驚きです。
お見事でした!

★★★ Excellent!!!

妖美なる幻想に誘う、珠玉の短編です。
描写力もさることながら、そこから表現される女性の抱える美しさと淫靡さに酔いしれます。

男性には正体に触れられない甘い毒というのもまた味わい深い……。

耽美で淫蕩。でもそのぬらりとした感触の奥に、一つ蜻蛉玉のような親しみのある清涼を湛える、陽光の下にある艶譚です。
ぜひご賞味あれ。

★★★ Excellent!!!

少女に中に棲む蛇と女の顔が妖美に描かれていて、改めてこのふたつの組み合わせの凄まじさに鳥肌が立ちました。白昼夢のような、どこか幻想的な雰囲気が漂いながらも、そこにじっとりと這う生々しさ。女性の艶かしく妖艶な所作を濃厚に描いた美しさは息を呑みます。
お話そのものの内容や流れも素晴らしいのですが、文体もすごいです。人物の息遣いを有り有りと感じる重みと深みを持った文体と巧緻な言葉遊び。地に足がついた立体的な描写は読んでいるのにその場を見ているよう。読み終わった後もまだ心身ともに熱くなっています。素晴らしいお話をありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

繊細かつ淫靡にまとめられた幻想譚でした。丁寧に紡がれた言葉が物語の耽美な空間を作り出し、懐かしく甘いうずきを彷彿させます。目の前に情景が浮かんでくるような言葉選びが巧みで素敵です。
視覚による描写を主体になっていますが、温度(体温、気温)や触感(汗など)、匂いは体験をよりリアルかつ生々しく演出できるので取り入れてもよいかもしれません。ささいなことですが、「神は細部に宿る」と言いますので。
欲を言うなら女と蛇の組み合わせはありがちなので、もっと意表を突くようなものでもよかったかもしれません。意表を突くような話でもないんですが。

★★★ Excellent!!!

初めから最後までため息が出るほど秀麗な描写で、引き込まれました。

タイトルから察せられる通り、女は蛇を飼っています。
ただその蛇とはなにか。
一種の魔性みたいなものを想像したりして。
「あるよね。女性は魔性の生き物なんて言葉」
ただ、それを私は本当に理解していたか?
よしんば頭で理解していたとして、心で解っていただろうか?

これは、解っているはずでも理解不能の『感覚』を、心に落とし込んでくれる。そんな物語。

★★★ Excellent!!!

文章という蛇に読むこと全てを飲み込まれてしまう作品です。
蛇を見せるところでは読むのがやめられなくなります。

これにのめり込んでしまう人間はきっと異性が飼っている動物に飲み込まれてしまうので、注意しておきましょう。あ、九割ちょっとはのめり込んじゃいますね。

とにかく、自分が主体となって読むじゃなくて作品によって読まされる、そういう作品です。えれーやつだ。