-81度 戦隊のスエオ

「「「「すいませんでした!」」」」


 スエオの前には土下座をするの勇者(笑)達。

 勇者Dこと、バルバリッチャという名の四人目がやって来たが、事態は収拾せずに悪化した。

 そこになぜか町に入る前に襲われて氷柱で閉じ込めたイケメン風の男まで乱入。

 イケメン風の男は勇者達の味方をしようとするが、なぜか勇者達からも攻撃されて退場していた。


 火と氷と風と土の勇者(笑)が揃うも、スエオには氷漬けにされプロウレムには炎で炙られオトワールにはローキックされていた。

 足を氷漬けにされて動けず、豚足の毛の処理をするかのように髪の毛を炙っていくプロウレムに、勇者(笑)達はまさに毛も足も出なかった。


「もうあんたたちの名前なんて読者が覚えられないんだから、赤青緑黒でいいわね?」


 メタネタバリバリの身も蓋も無いプロウレムに、落ち武者ヘアーになった勇者(笑)達は涙目である。


「ぜ、ぜひ5人目のピンクとして仲間になっていただけたりとか……」


 意外と図々しい勇者(笑)である。

 もう記憶のかなたに消えていたが、スエオの装備は7分丈のシャツとズボンに鎧である。

 見えている肌の部分はピンクと言えなくもないが、全身ピンクにしようとすると全裸になるのだろう。

 もう一度言う、全裸になるのだろう。


「誰がそんなピンクがいる戦隊もの見るのよ。バッカじゃないの?」


 呆れた顔でそう返すプロウレムだが、その発言に勇者(笑)は食いついた。

 スエオが産み出したにも関わらず、世界を食らう混沌として存在するプロウレムは正しく世界設定を食らい混乱させるメタネタの存在である。

 地球の娯楽を知らないと出来ないツッコミは、数少ない勇者(笑)を理解できる存在……だと思う。


「き、君は戦隊ものというものを知っているのか!」

「俺達に何が足りないのか教えてくれないか?」

「この色がいないとダメとかってあるのか?」

「やっぱり黒がリーダーだよな!」


 一気にプロウレムに詰め寄る四人。

 この勇者(笑)は過去の文献に出てきた戦隊ヒーローと言うものを勇者と解釈し、そのモノマネをする事で勇者たらんとしていたとの事。


「戦隊ものって赤は熱血で青は冷静とか、色と性格が大体イメージ通りになるんだけど……黒は腹黒ってわけじゃないわよ?」


 めんどくさがって最後にやって来たバルバリッチャもとい黒に20のダメージ!


「赤・青・黄の三人ってパターンも多いし。」


 沈黙して黒を見る三人。

 その黒は立場が危うくなった事に気づいたのか、慌てて誤魔化そうとしている。


「赤・青・緑・黒と来れば次は何色が─「俺が黄色になれば……黒いらないのか。」……ふぐぅっ!」


 緑の発言!黒に40のダメージ!こうかはばつぐんだ!


 絶望して立ち上がれない黒を冷たい目で見る三人の勇者(笑)。

 プロウレムは火を付けるだけ付けていつの間にかスエオの右腕に再封印されていた。

 どうやらメタネタをやりすぎると読者がついて行けないので自粛するそうだ。

 もうとっくに手遅れである。


 仲間割れ&パーティー分裂の危機にある勇者(笑)達。

 そんなの関係ないスエオとオトワールは寝る事にしてテントに戻っていった。

 勇者(笑)の出番はもう無いだろうと確信しながら。

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