[ネタ]記憶喪失の主人公

「あはは、そうだなー……」

 目の前に差し出されたのは、扇形に整えられたカード。

「これだっ」

 これはトランプというもので、ババ抜きというルール。数字が揃ったから、それら二枚を山札に捨てる。

 分かる。でも分からない。

 なんで覚えているんだろう?

 肩をすくめるのは、ババを持っているからなのだろうか? 邪推しながら手番を待つ。

 覚えていないのだ、自分のことを。

 引き抜かれたカードが、なかなか戻ってこないように、二度と手札にやってこないように。すっぽりと抜け落ちている。

 自分は、自分である。けど自分は何だ? 覚えていない。名前も、すとんと腑に落ちたからそう名乗っているだけで、持ち物にそうあったからそうであると思っているだけで、何者なのか?

 どうしてここにいて、なぜここで遊んでいて、トランプを覚えていて。

 何が違う? この遊戯と、自分自身。逆ならよかったのに、とまた提示された、一枚減った手札から、また一枚。


◆◆◆◆


 記憶喪失ほやほやの人物を主人公に据えるって、難易度高いのではとふと思いました。

 それを考えると某アビスなRPGはエピソード開始時点で記憶喪失から数年経過している、というのは一つの人格を作り出してから行動させる、といういい方法なのでしょう。


 さて、なぜ難しいのか、といえば動機付けができないからです。もちろん色々と仕込んでおけば巻き込まれる形で行動させることはできますが、あくまでそれは受動的です。

 能動的に動いてもらうなら? どうすればいいのでしょうか。


 本能的な使命感を持たせるのが手っ取り早いことでしょう。後々、ネタばらしにも使えますから。しかし思考が優先するような性格だとどうしましょうか。

 行動する前に考える。結果、自分にはメリットがないと判断して関わらないことを選択してしまう。広がりませんねぇ。

 主人公と初遭遇のナビゲーターがいれば、半受動的とはいえナビゲーターが何なのか、という自発性を持たせることもできるでしょうか……?


 私の手法だと、シール君を動かすために使命感を利用しています。あー、あっちのゲームも手をつけたいですねぇ。

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