[ネタ]誉れを背にする

 我らは神の魂を宿す戦士である。

 故に敗北などあり得ない。

 たとえ絶命しようとも、彼らは神としてまた、我らを守ってくださる。

 そう、負けることなど、ありえない。

 何人たりとも、この加護を崩すことなどできない。

 我らは戦士。神の教えを守る、負け知らずの戦士だ。


「つう、文献があったわけよ」

 紙を一枚、ペラペラと揺らす青年は、どうも学者らしい。

「何の文献だよ。そんな話、どこにでもあるだろ」

 声をかけられたのはその同僚。そちらは紙束に目を通しているところだ。

「ああ、どこでも、カルトとかそういうのでもよくある話だ。でも聞いて驚くな?」

 期待値を高める彼はすっと、紙を相手の視界に滑り込ませた。

「かの、聖教会の執務室にあった紙だ。捨てられてたけどな」

 そこには、男が話していたことがそのまま書かれている。しかし聖教会はここで最も大きな組織。組織単位で事件を起こしたことなどないはずだ。

「どうやって手にいれたんだ、こんなもの」

 ましてや、国教が。

「んー? 親切な泥棒さんがくれたんだよ。俺に託すのが正解だって」

 けらけらと笑う青年に、隠しとけと忠告するもう一方。

「なんでこんな教義があんのか。暗記もできるだろうに……怪しいな」

 返された紙にほくそ笑むと、じゃぁな、と彼はどこかへと行ってしまった。


◆◆◆◆


 自分達は正しいのだと信じる、というのは大事なことですが、疑いもなく信じることは、破滅への第一歩ですよね。

 初めは一部族の信教の話にしようとしましたが、こじれちゃいましたね。それはともかく、密かにこうして、国のトップにのしあがらんとする存在があると、怖いですよね。いるんでしょうけれど。

 いつの時代も、どうひっくり返るか分からないものですが、平穏であってほしいですねぇ

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