[日記]明しと云うも曇天はたちこめ

 今日の予報は、雨でございます。

 いつの間にか習慣化した、画面上部に現れるお天気マーク詳細に、選択を迫られる。


 汝は雨天を恐れるや?


 外を眺めると、降ってはいないように見える。それもそうだ。あくまで降るという予想であって、どれだけ降る、という情報は、確認した範囲では存在しないのだから。

 だがこれは同時に、いつ土砂降りになるかは不明である、ということでもある。雨雲の気まぐれが、全身を、視界を一瞬で包み込んでしまうこととだってあり得るのだ。

 どうする? 行くか、行かざるべきか? 明日、風邪を引こうとも大した問題にはならない。だが食材が台無しになるのは大問題なのである。


 外へと出てみる。一見すると、ただの曇天が広がっているばかりだ。だが目を凝らせ。そこには本当に、爆撃のない地上が広がっているのか?

 否。ぽつりぽつりと、塩をふりかけるようなのりで雨が落ちてきている。

 これはまずい。非常にまずいのだ。

 絶妙な雲の高さと、流れ込んでいる水蒸気のバランスが、空の上で保たれている。いつ崩れるとも知れぬ世界の均衡のもとで、私は決めねばならないのだ。

 外に出て、水浸しになることを恐れながら出掛けること。

 外を恐れ、静かに今日という日を満喫し、空っぽの冷蔵庫と向かい合うこと。


 どうして世界は、天気というものはこう残酷なのだろうか。

 灼熱は世を覆えば、干魃が起こるのではと不安を煽る。だが見るからに灰色の雲が立ち込めれば、いつ襲い来るか分からない釣天井のもと、駆け抜けねばならない。

 ああ、どうすればいい。

 その、選択は……


◆◆◆◆


 はい、外食中です。

 幸い、降らせるような雲はどこかにいったようですね。


 降らせてる雲があるときって判断に困りますよね。

 今回はあたりを引けたみたいですが、さて次回は……

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