[日記]この暑さはなんだろう?

「暑い……」

 無口である彼女は呟いた。

 元来、変温動物の特徴を併せ持っているにも関わらず、涼を求め、イグサの絨毯に腹這いになっている。

「うるさい。僕だっていやだよ」

 その隣では、同様にだらけている彼がいる。汗も流さず、むしろ活発にならない彼は、許容量を越えてるんだと説明する。

 二人は完全に部屋を占領しており、辛うじて通路があるくらいである。というのも、背はさほど高くはなくとも、その身体の末端には太い尻尾があるからであり、僅かでも体温を逃がそうとぺたりと床にへばりついているようだ。

「暑い……」

 彼女が再び。

「昨日が恋しいよぉー」

 彼は戻ってこない雨の日を回顧する。


 というようなやりとりの光景を思い浮かべると、なんだか楽しくなる。

 きっと、古屋だったら風通しもよくて涼しいんだろうなぁ。そこで広いスペースを占領して、涼むんだろうなぁ、と考えるわけだ。

 毎年のように考えている気もするが、全然飽きはこない。なんせ、去年考えたそんなことは忘れているからだ。

 しかし、不安定すぎるのも困りものである。予定を組むにしてものんびりするにしても、その土台になるものが調達できるかどうか、分かれるからだ。

 要は食料を確保できるかは大事だ。そこから、今日はこれを進めよう、という気持ちが、余裕が生まれるのである。

 なんであろうか、この暑さ。

 なんであろうか、昨日の涼しさは。

 なんであろうか、来週の雨予報は。


 いくら乞うても、天気なんてものは好転も悪化もしない。ただ静かに水が移動しているだけで、その奔流には誰も抗えない。

 今日がどうなるのか? 何ができるのか?

 最終的にはそこに行き着くわけだが、さてあなたの予定はいかがであろうか?

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