[短編(オリ)]太刀をばふたふり構へ
「ねぇ、あれって名前あるの?」
暗いキャンプにて、シールが相方に尋ねた。
「あれとはなんじゃ。もしや、先ほどの剣士のことか?」
見張りの番は、二人一組。もう一方はカガチで、じっと目を見張りながら、時たま舌を出し入れする。
「そうそう。両手に剣を握ってさ。いや、あれはキミの持ってる刀じゃなかったかな?」
数時間前は、ここは別の部隊の補給地だった。それを奪い取ったときに現れた、一人の二刀流の機人。思い返してみれば、それ以外に同様の得物を握っている者などいなかった。
「あれは、確かに刀であった。じゃが、わしの国の一振を真似たものじゃろう。あっさりと折れよった」
シールが後方支援、カガチが前方で防ぐ。そんな戦いの折に起こったこと。
「あれは二刀流、とかいう変人の編み出した流派じゃ。両方を攻めにまわし、防御は最低限に、などと考えた阿呆が、その亜流っぷりに唖然とした敵を斬り伏せることができたから、残っとる流派じゃろ」
見よう見まねで出きるもんでもないし、出来ても有利なことは特にない、と締めたカガチ。シールはそんなこともあるんだね、と微笑む。
「両手に武器をもってみたら、なんかしっくり来たんだ。もし知ってたら、教えてほしいなって思ったんだけど」
無邪気さをたたえるそれに、
「辞めておくんじゃな。片手で出せる力など、たかが知れておる。訓練ならいざ知らず、命を散らす可能性のある戦場で、試みることではないじゃろう」
蛇は首を横に振り、それもそうだと狐は佇まいを正した。
◆◆◆◆
二刀流、今や刀なんて腰に差す時代でもないので、二つの長所、武器なんていう使われ方をしますが、真剣での戦いとしては、あまり有効なものには見えませんよね。
まず前提として、刀というものは長物です。あれを振り回すだけでもかなりしんどいし、ましてや片手ずつ。安定するかといえば、かなり厳しいかと。
小太刀みたいなやつならまだワンチャン……? いずれにしても、どちらも攻めに使う、というやり方ではダメなんでしょうね。
メインは攻撃主体で、サブは攻撃もできる防御用のもの、というふうに使うのが一般的だったのでしょうか。
それくらい、文献なり探せば出てきそうなものですけどね。そんな余裕はありません。いつものことですけれどね。
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