[日記]窓を開け、音を聞く

 自分しかいない部屋だからと、イヤホンの音漏れなんてものを気にせずに、ボリュームを上げていく。

 優しく包み込んでくれる音が、強く鼓膜を揺らしてくれて、ガンガンと頭に突き抜けていく。これがたまらなく心地いい。

 ぼんやりとした眠気眼の、一種のエナジードリンクを受けて、イヤホンを取って布団を抜け出す。肌寒さに背後を見やるが、それよりも先に手にするのは、私服である。

 寝起き体操第一、服を着替える運動。

 まずはボタンを外し、腕を抜く運動から。などと実況すれば、いつの間にか着替えは終わっている。じゃあ次は、とイヤホンをつけなおして、再生。

 朝食の用意を始める。

 テンポのいい音楽に合わせて、フライパンに油を。温まったら卵を落として、あとトーストを一枚と……。

 お腹すいたなぁ。そんなことを考えても、目の前には白く濁り始めた半生があるばかりだ。

 と、片方のイヤホンが抜けた。半分だけの音楽に不安を覚えて拾い上げようとする。

 手にしたところで手が止まる。日差し差し込む窓ガラスが目についた。

 ふと駆け寄って、鍵を開け、スライドさせる。網戸越しに、勢いを増した光が、風と共に部屋へとなだれ込んだ。

 まだ聞こえている。音が。静かな、ざわめきが。


◆◆◆◆


 昼間のこの時間、窓を開けてのんびりと執筆するにはいい時間ですよねぇ。

 風も適度にあって、ざわざわと音が聞こえて、遠くからは人の発する音もあって。

 なごみますねぇ。これに炬燵があれば、もう横になって眠っているところですよ。しかしここにはないので、椅子に深く腰かけているのですが、それでも荒んだ気持ちを落ち着けてくれます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る