[ネタ]祝い事を終わらせて

 二年ぶりの、半端な時期の帰省を終わらせて、さて間もなく出発しなければならない。慌ただしくもなく、実にゆっくりとした時間のなかで、さっさと用意するものを終わらせて、待つばかりとなる。


 この時期外れの帰省の最中、祝いの席に出席することとなった。ただ招待されただけなのだが、合計六時間ほど、立ったり座ったり、微笑ましい姿を見守りながら、経験したことのない時間が過ぎていく。

 少ない出席者との挨拶の後、長い長い時間。ひたすらに、祝いの儀式が、祝詞が、粛々と進められていく。その中心にいる二人は、ずっと笑っている。それはそれは喜ばしいことだ。

 やがて式も終わりを迎えて、ようやく解放される。特別、ストレスを感じていたわけではないが、のんびりとしたい、という気持ちは、やはり顔を出すのである。


 そしてようやく、全身の力を抜ける頃に、私が祝いの席の中心に立つことがあるのだろうかとぼんやりと考える。

 少なくとも異性とのあれこれという経験はないし、なくてもいいと思う。これに対し、親はさぞ残念がるだろうが、あくまでもこれは、愚かな私の一個人の生き方だ。

 どう終わりを迎えるにしろ、終わるならば終わってしまえとも思えるわけで、死を恐れてるだけの一生物なだけである。

 幸せとはなんだろう? 私にはその答えがまだない。

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