[短編(市場)]のらりくらりと7
客のいない店。
しんと静まり返る店内には、寝息がひとつ。
商品の並ぶ、ショーケースを挟んで反対側、やけに広いスペースに、木の字になっている者がいる。
市場では珍しい山飛竜だ。二人しか確認されていないうちの片方は、首も、翼も、脚も尻尾も伸ばして、腹這いになって眠っていた。
皮膜には皺がよっていて、まだ狭いのであろうがそんなことはおかまいなしだ。顎を地面につけて、笑っているように。
時折、尻尾がぴくりと持ち上がるものの、特に何が起こるでもない。店の主が、特別頑丈なショーケースを、と注文したためか、鞭のようにしなる尾が商品を傷つけることはない。代わりに、壁がささくれているのも事実だが。
カラン、と鈴がなる。来客を示していても、当然応える者はいない。
そう、寝ているからである。
客はきょろきょろと店内を見渡したあと、宝石を見つけて足を進めた。
じっと安価な宝石を、舐めるように見つめた後、ふと店員の姿を認める。
わずかに吊り上げるその頬を張り付けたまま、客は一度立ち去った。
◆◆◆◆
ギルとシェーシャは人を雇っていません。当人、特にギル本人がセキュリティなのはもちろんですが、一人くらい雇ってもいいような気がしますね。
シェーシャは寝てるし。本編の開幕でも寝てましたからね。
彼女はお金の計算とかできませんし、文字も読めません。だから言葉でしかできないことをしているわけですが、ギルはなんだかんだで世話焼きなのでしょうか。まぁ恋人ですからね。仕方ないね。
さて、また日曜日です。
静かで落ち着く日ですが、そんな暇はありません。作品を進めていきましょう。
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