[短編(市場)]なんでこうなったんだっけ?

 土が見える。砂粒のひとつひとつを数えられそうなくらい近くに。だが数える暇なんてなくて、起き上がろうと重心を横に移動させる。

 が、僕の背中はぴたりと地面に吸い付いてしまっているかのように転がれない。尻尾に力を込めてみても、ぶつかるものはない。

 帰るなり昼寝してて、ちょうど目が覚めたところ。それ以外のなんでもない今現在、妙な重圧を腹部から感じるが、何だろう?

 悩む前にそれを確かめるべきだったんだろうけど、ようやく首を曲げ、何があるのかを確認する。そこには馴染みの顔がひとつ。

「何してんのさ、ラクリ」

 人の腹の上に座り込み、本を開いている。

「何って、ベンチで読書」

「誰がベンチだよ」

 むっと牙を剥いてみても、ずっと高くに見える彼女には届かない。

「あんたのこと。間抜けな顔で寝てればね、いたずらくらいしたくなるでしょ? 昨日のしかえし」

 別に我慢できる重さだけどさ。それに、昨日なんかしたっけ?

「昨日……きのう……あぁ、うなじをゴリゴリしたこと? いいじゃんそれくらい」

 樹海の中に突如現れる、木のない空間で、僕の遺産を座り込んで本を読んでいたとき、喉の鱗を擦り付けてみたのが、ご立腹であったらしい。

「よくないわよ。ちょっとめくれて痛いんだから。あんたもちょっとは苦しめ」

 別に構わないけどさ。ジーダとかだったらきついだろうけど、ラクリは軽いし。あ、今、文字通り尻に敷かれているのか。

 そんな思い付きを口にしようものなら首を絞められかねない。彼女が退いてくれるまで。僕は砂粒数えを再開する。


◆◆◆◆


 いつしかのリエ×ラクリの立場を逆転してみました。深い意味はないです。

 実際のところ、超大型爬虫類の背中と尻尾の付け根、どちらが触り心地いいんでしょう?。尻尾の方が、筋肉の塊ですからむっちりしてはいそうてすけれど。

 あと、腹に乗られてリエ君は平気なのかね。ポテッとしてそうですけれど。

 なんか今日は眠いので、今日はこのあたりで。

 二人のコスチュームバリエーション、増やしたいなー。

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