[短編(市場)]第777話 記念日と言うけれど

 玉座へと続く道に入る手前、すなわち広場の中央には多くの屋台が並んでいた。

 軽食に、砂糖菓子、はたまた小物、普段は見ない大がかりな土産物屋まで。

 妙に多い人通りに、きょろきょろと忙しく視線を巡らせているのはシェーシャだった。隣にはギル、数歩後ろにはラクリと、リエード。彼らに関して言えば、目の前でごった返す者たちの隙間をどうにか見つけて、進もうと腐心していた。

「回り道、したらよかったんじゃない?」

 背後の問いかけに、

「こいつが催し物があるって言うから、来たんだよ! くそっ」

 舌打ちで返すギルは首を伸ばす彼女に向かって、早く行くぞ、と急かす。

「いやー、二人が掻き分けてくれるから、楽だねぇ。いっそのこと、僕たちは遠回りしてく?」

 まだ広場に入って、普段ならほんの数歩。出ていこうとする流れにのれば、ひとまずの脱出は容易い。

「私も、売り物には興味あるんだけど……結晶とか、掘り出し物の本とかないかしら?」

 だがラクリもこの人混みを形成する原因に興味があるらしい。つま先で立ち上がってみるものの、シェーシャほどの体高は得られずに終わる。

「にしても、何だろうね? お祭なら王様が通知するだろうし、多すぎでしょ」

 そんなことはどうでもいいだろう、と切り込み隊長が怒りを露にする。もちろんそれを宥めるのはシェーシャで、後ろの二人は軽く笑う。

 四人が広場を横断しようとも、混み具合に変化はなかった。もともと向かう予定だった店へと入ると、ギルは席につくなり、水を飲み干してぐったりとしてしまう。

 と、店員が現れる。

「いやぁ、すごい混みようですな? 一体何が行われてるやら……」

 店員もまた、知らないのだ。どういうことだろう、と赤と青は視線を交わしたあと、ひとまず注文を済ませた。


◆◆◆◆


 777、という話数になってしまいました。

 特にラッキーセブンなお話もなかったので、いつしかやった記念日ネタを、と考えましたが、何かの記念日に四人が食事しに行く日になりました。


 777とはいえ、なんもないんですよね。平日の、いつもの正午。無理に特別にするよりも、いつものようにつらつらとする方がいいのかなぁ、と。

 そういえば、なんで7ってラッキーなんですかね? ちょっと調べれば出てくることでしょうけれど、これ自体に意味はないはず……。

 777といえばスロットマシンの出目のひとつでもありますが、これとの関係もあるのでしょうかね?

 もし気が向いたら調べて、またここに書き込んでみましょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る