[短編(市場)]ぐぅと目を閉じ数時間

 樹海は、日中も基本的に暗い。ここで昼か夜か、と問われればぐっと仰いで、真上に顔を出している空を見上げるしか方法はない。

 そんな場所に小屋を立ててしまった当人が、遅くに外へと顔を出す。

 寝不足なのか、白目はどことなく充血しているようだ。どしたの、と外に出ていた同居人は尋ねる。

「……うつ伏せで寝ちゃった」

 ぐるぐると不愉快そうに喉をならし、そりゃ災難だ、と口にした彼は、目の前にあった丸太に顎をのせる。

「普段はまっすぐな背骨が歪んだんだろうなぁ。なにしてたのさ」

 彼女はよたよたと焚き火あとに近づき、火を灯す。

「なんもしてないわ。ただ、変に寝返りうったみたい。いたた……」

 背中の中程に気を遣いながら腰を下ろす彼女を眺めて、彼は、

「夕飯は僕が当番でよかったね。今日は安静にしときなよ」

 と喉をこすりつけるようにして左右に揺れる。

 そうするわ、と持っていた果物を炙って、静かに食事が始まった。


◆◆◆◆


 寝るときの姿勢って大事、と言われるじゃないですか。ならラクリさんみたいな骨格だと、間違えてうつ伏せに寝てしまうと背中いためるんじゃないかなー、と思いまして。

 彼女は二本足で立っていて、外開きの腿があって、尻尾も太いです。うつ伏せになろうものなら腰辺りの骨が直立時よりも歪むことかと思われました。

 ちなみに本編でも外伝でも異説でも、普段彼女は座るようにして寝ています。背中にもたれるものを用意して。


 で、今気になりましたが、生物の寝相と骨格って何かしら関係がありそうですよね。犬とかは仰向けに寝ることもあるそうですし、それを考えると膝を付き出したような体格って、寝るのに不利だから絶滅していったのでしょうか? それはそれで絶滅した生き物の体格を考える上で面白そうです。

 あと腹って基本的に下から前方にかけてあったりするし、背骨は背中にあるし……あ、これはまとまらないやつですね。

 そんなよく分からないネタを発散しつつ、今日の後半戦に挑みましょうか。

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