[短編(ネタ)]選ばなかったこと、を聞く
人の社会を支えるのは人。国も、町も、村も、規模を問わず支えるのは、毎日をそこで暮らす人たちです。
今日は、王都の雇用ギルドにて食堂を営む、クリストフさんに話を伺いました。
こちらでは毎日のように日雇いの仕事を求めて人々が訪れます。そんな人たちの待ち時間とお腹を満たすのが、クリストフさんの作る、サンドシリーズです。 ふっくらとしたパンで、ずっしりとした具材を挟んだサンドは、絶品の一言に尽きます。ただ、ギルド所属の人でないと利用できないそうです。
--クリストフさんは、なぜギルド支部で食堂を開こうと考えたのでしょうか?
「もとは、ギルド自体が求人をかけてて、それで始めただけですよ。もとは薬品とか保存食の販売を兼業していましたが、他でも買えるものを取り扱っても仕方ないだろうと考えたんです」
--あぁ、そういえば、数年前は雑貨屋でしたね。今では食堂がメインですから、改革されたんですね。
「そういうことになります。そこから色々と試行錯誤して、今から仕事に出かける人たちに、何を提供するのがいいかと考えたときに、サンドならちょうどいいと考えまして」
--昔の雑貨屋はだれもが利用できたかと思いますが、なぜ制限を?
「理由は単純で、その日に売れる量を予想しやすいからです。例えば契約の切れるタイミングの人がその日、どれだけいるのか、すぐそこなので聞きに行けばわかるじゃないですか。ギルド直営ですし、日雇いの仕事を求めてる人たちに安く提供するために、交渉したんです。ここで購入するためには、ここで働いている、というライセンスの提示が必要にしてほしいって」
--なるほど。話は逸れますが、今も昔も冒険家などのロマン派ギルドが人気ですが、所属するからにはそこがよかった、ということはありませんでしたか?
「私は昔から、身体を動かすのが苦手でしてね。どこか美しい景色を見てみたい、とかはちょっとだけはありましたけど、毎日を暮らすのに手一杯なのに、そんなことに現を抜かす暇はありませんでした。なので、必然的に選択肢から外れましたね。後悔なんてありませんけど」
--そうでしたか。失礼しました。
「いえ。夢ばかり追い求めた彼らがいつまでも外へと興味を持てるのは、私たちがこうして用意をしているからです。彼らの手助けになっていると考えれば、私は満足するようになってしまいましたから」
本日は日雇いギルドにある食堂の店長、クリストフさんにお話を伺いました。
次回は、現役冒険家のエルシャさんです。お楽しみに!
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もっと辛辣なの書きたかった!
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