[創作論]狂える者よ、ここに眠れ
この人は、優しい人でした。
怪我をしたという連絡がこれば、その人のもとへ駆けつけて。
隣人がお金を借りたいといえば、しっかりと記録をつけて貸して。
欲を言わない私に、よりにもよって欲しいものを見つけたときに、見え透いたようにそう尋ねてくるような人でした。
それは昔から変わらないそうで、騙されても、裏切られても、表に傷を一切見せようとしない、聖人のような性格をしています。
それなのにどうして、こうなったのでしょうか。
神様が実在するというなら、これは冤罪です。
彼をかどわかす、悪人が憑いているのです。
しかしあなたは、この進言を聞こうとしないのでしょう。
全ては、あなたが作られたというのだから、あなたが彼の行いに報いるべきではないのでしょうか。
人の幸福を、だれよりも願った彼が、なぜ苦しまなければならないのでしょうか。
あるいは、善き人であるからこそ、心を痛めぬように、この仕打ちを選ばれたのでしょうか。
狂い、狂い。
そうだというなら、あなたは彼という人でを分かっていません。
わずかに見える面影から、涙が見えませんか? 態度を改めぬということは、見て見ぬふりを貫くのですね。
これまで、ありがとうございました。
あなたは、とても、優しい人でした。
ありがとうございました。
さようなら
◆◆◆◆
優しい誰かが犠牲になるシチュエーションってよくありますよね。自己犠牲なのか、それとも第三者の手によってそうなったのか。いずれかが美しいかは置いておくとして、こういうエピソードって重苦しくないと効果が薄いんですよね。
例えばぽっと出のキャラを、実は優しい人だからと言われてるのに攻撃しても、あなたに良心はないんですか、程度で終わりますよね。
しかし節始めから出てきた優しい人とかが、何度も何度も現れて、夢を語って、にっこりと笑ってから、その人を攻撃せざるを得ない状況になると、躊躇いますよね。
このようにして主人公をいじめたりするとき、あなたはどれだけ被害者役を主人公に取り入れさせることができるでしょうか?
かといって過度に好感度を上げさせようとイベントを頻発させたり、不自然な流れを描くと読者の鼻につきます。
主人公の攻略法、とかではないですが、予めプロットなりでそのあたりを突き詰めておけば、比較的自然な感じにはなるんてしょうか? もっとも小説、もとい物語なんて不自然を自然っぽく見せているに過ぎないんですけれどね。それが行き過ぎると、ご都合展開と罵られたりしてしまうのでしょう。
もしそういう、犠牲者を出すシチュを考えておられたら、少し見返してみてはいかがでしょうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます