[創作論]ぬしの足、あらずんば
カガチ、とシールが声をかけたのは、鱗に覆われる人の半身を持つ、太刀を携えた異邦の装いをした男。
「うん、なんじゃ」
しゅるりと出てくる先割れの舌より、ずっと下、下半身には足がなく、これまた太い、太い蛇の身体が床を這っている。
微妙な距離をとっているシールは、彼の身体が横たわっていない方向から声をかけている。
「骨格標本の部屋を通ったからか、気になったんだけど、キミの身体って、どうなってるの?」
言われてみれば、と彼女の背後でくつろいでいたアクロとベニリアも顔をあげる。
「蛇は肋骨が、尻尾手前まで続いているらしいな。幻獣のラミアなんかは、腰から下は蛇って云われてるが」
だが彼の、もたげている上半身には骨盤らしい骨は見当たない。
「顎が外れてるのは見たことあるけど……というか、腕はあって脚は消えるって、都合のいい話だよね。蛇に魅力を感じたやつが、人間らしさとは腕だ、なんて主張してたみたいだ」
食後の後の欠伸にて、ぐわんぐわんと左右がずれる顎が、カガチがまごうことなき蛇であることを示している。だが太刀を携え、一枚羽織っている上半身は、人であることを主張している。
「さてなぁ? この身体をよう調べたことがないから、分からん。だがへそは、このあたりじゃ」
床を這う身体を裏返して、蛇腹の真ん中を示す。だがそこには、人で云うそれはない。
「……気になる」
だが毛皮の逆立つシールはそこに近づこうとせず、じっとそこを見つめるばかりだった。
◆◆◆
シール君出演のゲームにて、四人のプレイアブルキャラを考えたのですが、狐獣人のシール君以外は、ヒューマノイドのアクロ、鳥獣人のベニリア、蛇獣人のカガチ、となりました。なお実現するかは分からんがな!
ということで、蛇の骨格標本って見たことはありますか? 四肢の名残だったりがあるのですか、背骨と肋骨ばかりなんですよね。
で、いざ蛇に関する幻獣を見てみると、この特徴が消えるんですよね。
例えば上半身が女性、下半身が蛇といわれるラミア。よく考えてみてください、骨盤から上下方向に背骨出てるんですよ。海獣のように脚が尾ひれになったとしても、骨は両足あったりするんですよ? 幻獣だから気にしたら負けだけど、そういう考えてみたらおかしいよなぁ、という骨格というか、そういうのに私、もやるんです。
故にか、市場の登場人物、腕が四本とか、いずれの者たちも四肢があるなら翼をつけないし、腕がないなら翼をつけるし、といった妙なこだわりのうえでキャラデザを考えることが多いんです。
他にもケモノには髪を用意しないとか、鱗類には毛をつけないとか……うーん、蛇足な拘りかなぁ……人間というと瞳やら服やらに個性を着けることはできますが、私の趣味である彼らに制限をかけすぎてもダメかなぁ、と思った今日この頃でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます