[短編(魔女)]桃色の棚2

 ブスブスと鼾を立てる犬を見つめながら、ペット禁止のアパートの一室を借りている女性は、テーブルに頬杖をつきつつぼんやりとしていた。

 スマホを開くこともせず、脇に置いてあるデザートの空を片付けることもせず、かといって未開封のデザートを開けようともせず。

「こいつが、世界を滅ぼすことすらできる魔物、ねぇ……」

 ただ正面に置いてあるテレビを眺めるばかりだ。

「契約できるのが私しかいない以上、面倒見なきゃなんないのは、分かるけどさぁ」

 誰に宛てるでもない。

「お菓子って手間ぁかかるのよぉー? 煎餅とかも加えてくれれば楽なのに」

 はねてばかりの長い髪をいじりつつ。

「作るのは好きだけどさぁー、むっしゃむっしゃ食うばっかでろくな感想ないってのもさぁー」

 愚痴は間違いなく、クリームを口につけている犬に向けている。

「んでコンビニデザートは嫌々言うし、かと思えば限定ものは別ぅ? 都合よすぎだし」

 足をばたつかせれば、テーブルがガタガタと呼応する。

「魔物を放っておくのも禁止されてるし、差し入れでもいいから協力してよー」

 その言葉を最後に、女はテーブルに倒れこむ。ぐるぐると喉を鳴らしていたが、じきに寝息にすりかわってしまう。


◆◆◆◆


 さて、テーマ発表からはや24時間。書いている方は順調でしょうか?

 私は一通り書いてみたところで、手元にデータがないので今晩投稿します。


 して、今回のテーマ第1弾が「おうち時間」。時世に沿ってきましたね。

 考えられるのは暇な時間、はたまた家に居続けること、変化するコミュニケーション。あるいは、切り詰めた生活と、時間ばかりがある生活でしょうか。

 ファンタジーに落としこむとすれば、ロウファンタジーで一人暮らしの、同居人とのやりとりとか。ハイファンタジーなら……そういう意識ってあるんでしょうかね。外出禁止令が出ても、それで生活ができる環境が整っていなくて反発は必死になるでしょうね。

 そう考えるとファンタジーは書きにくいことでしょう。ましてや5000もいかない短編なので、変に世界を作り出すよりも、共通の感覚や環境を用意できる今を使う方が、よっぽど書きやすい。

 だからか、あまり参加されてるようには見えないんですよね。多くはファンタジー書き出身か? まぁそうなんだろう。

 さて、あまり期待はしていませんが、私の短編はどんなふうに読まれるんでしょうね?

 それは今晩のお楽しみです。

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