[創作論]ユニークってなんだろう?

 ふとそう考えたとして、あなたが打ち込む文字にはユニークという言葉は似合うだろうか? 私の書いたこれは、俺の作ったこれは、うちの、ぼくの。いざ口にしてみると、そこに並べられるのは設定ばかりで、肝心の物語そのものに触れられることは、そうそうないのだろう。

 唯一性は、設定ではない。どちらかといえば、どんなふうに何を示すのか、端的に言えば、どんなふうに描いているのか、の方がにじみ出てくることだろうと思う。

 例えば誰も思い付かないだろう設定Aを思い付き、それで小説を書き上げたとしよう。すると二番煎じながらも、影響を受けた読者が設定Aを使って別のなにかを描く。

 するとどうだろう。設定Aはオンリーワンでなくなってしまった。単純明快な話だ。しかし設定Aを利用した第一人者と後続の者は、まったく異なるものを作り上げることになる。後者は、もしかしたら絵にしたのかもしれないし、あるいは音楽に乗せたのかもしれない。そこでやっとユニークという属性が得られるのではないだろうか。

 パクりパクられという話は、今に始まったものではないが、それ以前に、あなたはユニークな作品を作れているだろうか。数多あるシーンのひとつに焼けつくほどスポットライトを当て、あまりにもそっくりな構図に激怒していないだろうか?

 あるいは、ユニーク、ユニークというしがらみに囚われて、何もできないでいないだろうか? 安心していい。設定なんてものにユニークなものはない。意外なものという分類はあるが、それは思い付くかつかないかだ。

 そこからできたものが、始めて筆者特有の作品になるのだ。奇抜な設定が唯一性を高めるのではない。あなたが作り上げることで、初めて唯一のものとなれるのだ。


 あとは、どれだけあなたが、あなたにだけ書けるものを作り出すのか。それ次第だ。ウケを狙い書くのか、景色を丁寧に描くのか、はたまた、戦闘になると滑らかに筆が踊るのか。

 そこに、小説のユニークが、あるのではないだろうか。

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