[短編(市場)]添い寝

 これはどういうことなのかしら。あぁ、いや、二人がそういう関係であることは知ってたけど、こんな真っ昼間から、いや、でも窓もないここだったら実質夜かしら。

 表には鍵がかかってたし、今日は休みなのかと思って裏手から入った。重厚な扉の鍵は、保険として渡されてるから、それを使って侵入した。

 で、真っ暗だから灯り代わりの火をともして見渡したんだけど、ギルとシェーシャが狭いベッドで眠ってるのが目に入った。

 ああ、うん。間が悪かった? うん、そうよね。たまたまそういう日だっただけよ。起きてる時間に出直そう。

 いそいそと外に出て、扉を閉める。二人が起きた気配はなかったから、うん、別に急ぎでもないから、これでいい。

 そう決意して、裕福な家に挟まれた道を降りていく。


 その数時間前、ぱちくりとシェーシャは目を覚ました。まだ夜半の時刻、いつもならグウグウと眠っているはずの身体を起こして、あくびをする。

 闇に目を慣らし、あたりをきょろきょろと見渡す。静かな寝息をたてながら、布団を被っている姿がある。

 じっと彼を見つめて、忍び足で近づく。ぐっと首を伸ばしてみるが、顔までもすっぽりと隠れてしまっている。唯一はみ出しているのは、彼のあまり長くはない尻尾だけ。

 いくら視線を傾けても見えないことを知ると、彼女は反対側に移動して、布団に鼻先をつっこんだ。次いで首をぐいぐいと押し込めば、彼の寝顔を拝見することができた。

 険しい表情を浮かべているそれに、何を思ったか、そのまま身体をベッドの上に乗せ、彼の隣を陣取ったのだ。

 ふん、と鼻息を出した彼女の金の瞳は、間もなく再来する睡魔に負けてしまう。結果、二人は狭いベッドの中で一晩を過ごすこととなった。


◆◆◆◆


 ソイヤッソイヤッ

 異種族の添い寝ってロマンがあると思う。


 最終的には心を許すかどうかの話になるのですが、ほんわかとするんですよね。しません? 私はする。

 ギルシェーシャは竜というくくりでは同じなわけですけど、立脚類と飛竜なら別として捉えてよくない!? よくない!? つうか二人とも互いに恋人認定してるし、普通に毎日寝ておけよぉ!!

 と、そんなことを考えていました。それを目撃したラクリさんは黙って距離をとることを選びましたが、彼女がそういうときになったらどうなるのでしょうか。それはまたのお楽しみ。

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