[短編(魔女)]レシピ

 穏やかな日差しを室内で浴びる。

 ぴかぴかと光を反射するフローリングのある室内で、一人の女性がソファに仰向けに寝転びながら雑誌を開いていた。今日のおやつ365、と表紙にポップのあるそれは、しかしペラペラと流し読みされている。

「どれも簡単って銘打つわりには、材料を用意しないといけないんだよねぇ」

 ぼやきに反応するのは、フローリングに寝そべる犬の耳。

「作るのは好きなんだけど、材料の期限もあるし、こうもばらばらだと、やりづらい」

 ぴこぴこ。

「次のレシピは、材料をテーマにしたやつにしようかなぁ。あんたはどう?」

 不意に、誰に投げ掛けられたか分からない問いかけに答えるのは、男性のもの。

「飽きなければそれでいい。玉ねぎのスイーツでも、おれは喜んでいただくぞ?」

 もちろん問うた彼女に驚きの様子はない。目を閉じながら相変わらずぴこぴこと耳を動かす犬も、動じる様子はない。

「あ、あんた玉ねぎ平気なんだ。じゃあ、カレーとかもいける?」

 雑誌を閉じて、床に落とす。そこには犬の頭があり、ベシャと音をたて、滑り、フローリングへ。

「ぐっ……カレーは好かん。あの刺激臭は嫌いだ。スイーツをよこせ。今日はなにをよこしてくれる?」

 男性の声の正体は犬のようである。じろりと目だけを彼女へと向ければ、昼寝でも始めようといわんばかりに脱力している。

「二時くらいに起こして。作るからー」

 そのまま無意識の旅路へと向かった彼女から、ぐるっと首を回して時計を見る。十時を示していた短針が、右へ若干傾いている。

 むぅ。犬は再び、目を閉じた。


◆◆◆◆


 レシピって、買うまではいいですけれどものの用意が手間ですよね。そこらへん、初回限定でセットになっていればいいのに(腐る)。


 ということで、レシピ料理ってなかなか使わないですよね。特に本のレシピは中にある情報が変わらないので、冷蔵庫の中身を用意する必要が出てくるんですよねぇ。

 Webレシピは逆で、冷蔵庫の中身からレシピを探すことができます。そういった点では、某料理サイトなどは顧客を集めることに成功している、とも言えますね。

 なら本のレシピは廃れていくか、といえば、そうではないんですよね。目新しいレシピでなんか作りたい、となったときに、目新しさがあるのは本レシピです。Webは探す人のもとに探していた情報が届けられる性質がありますから。


 ちなみに、我が家にも少量油の揚げ物レシピがあるのですが、試したことは一切ないです。揚げ物より炒め物、焼きものが片付けも早いし、コンビニスーパーで買った方が手間もないですし。

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