[短編(オリ)]スキル・魑魅魍魎
コツ、コツ。
真っ暗にも等しい洞窟に響くのは、靴の足音。
これはあれだ、革靴だ。鎧のガシャガシャ音もあるし、冒険者だろう。音は近からず遠からず……耳だけを傾けながら行く末を聞き入った。
剣を抜き放ち、空を、遅れて魔を刻む音。断末魔。淡々としているが、ずいぶんと呼吸に乱れが見える。さては初心者か。
じゃあ、自分が相手をする必要はないだろう。遠目に眺めて、びびってどこかへと立ち去るに、15分賭けよう。
一応、首を上げて威嚇用に吼えておく。洞窟をびりびりと揺るがすこれは、やつの臆病風になりうるかどうか……さ、15分の昼寝だ。体を丸くして、深く息をついた。
だが5分もしないうちに、それは自分の目に光を当てた。瞼を貫くそれに、ゆっくりと開く。
10代半ば……と言いたいところだが、発育が悪いことを加味すると20代の青年がそこにいる。びびって震えているくせに、どうしてここに来たのか。
じろり。
一睨みで立ち去るそれを、追うような真似はしない。面倒だからとかではなく、これが仕事だから。
今日は何人でしたか、と尋ねてくるのはギルドマスター。自分は人間態をとって、洞窟近くの村の宿で夕食をとっていた。
「一人。びびってたぞ」
彼ですか。知ってて俺をここに配備してるくせに、よくもまぁ。
「しかし、あなたのスキルは便利ですねぇ。ギルドマスターとして、採用できたのは運がいい」
にっこりと笑うが、正直ここ以外では生活が難しいことは分かっている。
スキル。各個体が身につけた技能をそう言うが、その中にはもちろん天賦の才というものに属するものがあって、自分はそれを、魑魅魍魎、と名付けた。
剣も弓でも使えればいいなぁ、と思っていたが、結局行き着くのは、魔の存在になること方が楽であるということだ。
飛べる怪鳥になれば飛べるし、走る怪鳥になれば走るのは早いし、ドラゴンになれば基本、負けることはない。
簡単に言えば変身スキル。
ただし、人間には、なれない。
◆◆◆◆
ええやんええやん。スキルものでこんなんもおもしろそうやん。
というわけで、魔物に変身して戦ったり配備されたりする主人公ってどうですか? もちろん敵は他の冒険者だったり魔物だったり。しかしやらなければならないタスクを用意して立ち向かわせるとかどうだろう。
これの対立として、召喚スキル百鬼夜行とか。なかなか楽しそうなネタになりそうな予感!
まーたネタ、増えちゃったなぁ。ないよりかはましですけどね。
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