[創作論・短編(市場)]青の書読

 樹海の中にぽつんとある、生活感のある小屋の中。ふんふんと鼻歌を奏でているのは、一階の真ん中にあるテーブルに向かうリエードである。

 狭い空間にどうにか全身を納めながら机の上の紙束に、前脚の指につけた筆記具を走らせながら歪んだ文字を書いていく。

 だがいびつであることなど気にしていないらしい彼は一枚目の終着点にたどり着くと、それを破いて次の紙を上にする。そしてまた次のメッセージへ。

 ちょうど二枚目の中頃、天井が軋む音が鳴り、次いで階段へと移動し始めた。間もなく姿を現したラクリは彼のテーブルに向かう姿を見て、そういえば、と口にする。

「あんたって、どこで字を覚えたの?」

 床に脚をつけてから向き合うと、彼は紙にインクが落ちないよう指だけを動かしてから視線をあげた。

「ん? 僕はクロッスさんからさ。ラクリと暮らし始めたときは、書けなかったよ?」

 誰、と聞き返しても、遺産好き仲間だよ、と返される。

「そっちこそ、きれいなやつ書くよね。どこで覚えられるのさ」

 青の鞭が床を叩いた。

「村の近くに住んでてね、そこで覚えたの。まぁ、紅竜でも、私くらいしかいないでしょうけど」

 へぇ、とリエードが首をかしげれば、どうしたのよ。

「いや、僕のいた群れのベルデ……あの荷物背負ってたやつだけど、あいつってどうなんだろって思ってさ」

 聞いてみればいいじゃない。簡潔な答えに、そうだね、と彼は再び筆記具にインクをつけ、書き始めた。

「にしても汚いわね」

 余計な一言を残して振り返ったその背中に、うるさいな、とトゲつきの言葉が投げられた。


◆◆◆◆


 一般的な教養=読み書き、と考えがちですが、ならば、それはどこで習得できますか?


 特にこういった地方から集まってくる場合、収入などにも大きな差を生むことも考えると、ある程度は固めておきたい設定ですね。

 教えられる文化圏なのか、独学なのか、閉じた生活圏で教え込まれたのか……それだけでも設定とかもりもりつけることできると考えれば、決して無駄にはならないはず。


 え、自動翻訳? いらねぇんだよ、中途半端なリアリティは!

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