[創作論]濃口調味料
そこのおまえ! 路地に響く大きな声。
「こんな場所でコソコソと何をしている!」
活発な青年の声を発しているのは、屋根の上で腕を組み、見下ろす者。
「この暗い場所でコソコソしているのは、悪党というのが筋だ! その悪事、俺が挫いてくれる!」
十メートルはある高さから飛び降りた何者かはふわりと着地し、路地へ消えていく。
「さぁ! 覚悟するがいい!」
そしてキメポーズ。
一方、彼を見つめる双眸はげんなりとしたものだった。
「まぁぁた、あんたかよ。どっこにでも現れるね!
おそらく同年代の、相対する者は明らかな不愉快を浮かべ、アッパーを決めるような仕草をする。
「違うぞ! 正義の、せーいーぎーの、使者だ! 間違えてくれるなよ! ワルダ組の手先!」
だから違うって。
「たまたま行く先にやつらが現れるんだよ! そんなダサいやつらとつるむとか死んでもごめんだし!」
嘘をつくな!
「ならばなぜ、おまえからはワルダ組の臭いがするのだ! 俺は騙されんぞ!」
ふざけんな。
「あいつら火薬で爆破ばっかしてるから、その臭いがたまたま似てるってだけだろ! ていうか火薬なんて持ち歩いてないし!」
食い下がるかワルダ組!
わいのわいのと二人きりの口論が打ち切られるのは、数分後のことだ。
大きな爆発が、熱が、衝撃波が二人に襲いかかったからだ。素早く音に反応したヒーローは、構成員を守るように身を呈す。
「あんたのお人好しには、ほんっと呆れるね!」
悪態付きながら、守られながら、
「ワルダ組であろうと、死は恐ろしいものだろうからな!」
眩しい笑みの陰で、彼女は銃を取り出す。
爆発の中から躍り出た影に、鉛弾が打ち込まれた。
◆◆◆◆
パパッと書いてみてあれですが、なかなか動きのあるアニメーションをイメージできました。
で、今回は登場人物の性格について。ここまではっきりとしていると判りやすいですよね。正義のヒーローと、それにいつも出くわす謎の女性という関係です。
実際、現実に彼らのような濃口性格で立ち振る舞われたら引いてしまいますが、作り物の物語だからこそ映えることってありますよね。それこそ、コメディに分類されるものって。
ただ、これを長編にするには難しいんですよね。そのテンションに読者が着いてきてくれるのか、はたまた筆者はいつまでテンションを保っていられるのか。それこそ、そういうノリを継続して提供できるのか。私はできないなぁ……。
それにコメディとして書いたとして、読者にウケるのか、も気にしないといけない。
やっぱ私には無理だわ。できる限り彼らの生活を書くのが限界です。どんなやりとりをすることで人となりを描く方針じゃないと私は無理です。
それ考えると、ギャグを書いたりしてる人ってすごいよなぁ、と、物語という料理に味付けする登場人物の性格について、考えてみました。
私には無理だな!! うん!
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